『のにさくはな』

観劇記 あまご 

          作・演出 :深津篤史
桃園会  
         204年2月9日(日) 
伊丹アイホール   
         

         
 とても難解な芝居でした。ストリーがあるようで、ないような展開、舞台もたくさんの役者さんが現われるのだけど、それがどんな意味があるのか分からないまま、芝居が終わっての帰り道、阪急塚口に向かっておしゃべりしながら、3人とも難解という点では一致です。
  


6つに区切られた空間
それは6つのアパートメント
幸せそうなカップルも住んでいて
自治会長もいて

ピザの配達人?
 善と悪のお面を被った人達? 
3人の役者が固まった母親?
 登場人物たちが生きているのか死んでいるのかも分からない???
物語の筋は

近くで戦いがあったのか
大きな自然災害があったのか
殺伐とした風景
強盗団
強姦
これから祭りが始まるのか
もう終わったのか

繋がらない携帯
殺伐とした人間関係


のにさくはな
希求
生きる喜び

 深津篤史演出による芝居はハロルドピンター作「温室」、別役実作「象」の2本しか観たことがないのですけど、2作とも斬新な舞台で、深津篤史という劇作家・演出家にとても興味を感じたのが、今回の芝居を見るきっかけでした。
 舞台の片隅で劇中劇として演じられる「タイタス・アンドロニカス」、この作品がベースになっていると聞き、原作を読んでみる事にしました。
 読み終わって、芝居の展開が少しだけわかったような・・・。原作はとても面白く一気に読んでしまいました。とても解りやすい作品です。芝居の根底に流れるのは、親子の愛情、子供を殺されたことによる復讐、そして悪の魅力?「悪の魅力?」とはおかしな言い方ですが、シェイクスピアの作品には、リチャード三世、マクベス、オセロ―など強烈な悪人が魅力的な人物として描かれています。「悪」は人間の持つ、否定しきれない本姓の一部だと思うのですが、その悪が生き生きと活躍するのですから、知らぬ間にその悪の魅力に引き込まれてしまいます。女王タモーラと二人の息子たちも相当な悪人ですが、女王の愛人アイロンは純粋な悪魔そのもの、しかし何故か憎めない、何故か・・・とても不思議な存在です。
 今年はシェイクスピア生誕450周年、シェイクスピアの悲劇・復讐劇の原点ともいえる作品に出会えて、楽しみなスタートとなりました。せっかくですから、今年はたくさんのシェイクスピアの作品に触れてみたいと思います。



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