シアトルのフクシマ・サケ(仮)』 
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観劇記 あまご 
2021年12月12日 
 
燐光群 伊丹アイホール
作・演出:坂手洋二
出演
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 さとうこうじ
重田千穂子 円城寺あや 鬼頭典子 大浦千佳  中山マリ 
樋尾麻衣子 武山尚史 山村秀勝 町田敬介 西村順子 
杉山英之 (voice)  Benjamin Beardsley (video)



「舞台は中通りにある、今は閉じてしまった酒蔵。
そこには津波で建物を流され
杜氏だった長男も失った一家が居候をしている。
元原発作業員の次男が
酒造りのこれからを考える中
地元の新しい売りを求める観光課の職員や
シアトル在住の日系移民などが出入りし
そこで「日本酒を作るためにシアトルに移住した一家」の話が
象徴的に語られる──。


神戸では大倉山の文化ホールが老朽化し
新しい演劇ホールの建設をめぐって
様々な検討が行われています
映画は映画館で
音楽は音楽ホールで
演劇は劇場で
それぞれの特徴をいかした専用のホールが必要と思います
今回の舞台となった伊丹のアイホールをめぐって
市長の発言に危機感が広がりました
燐光群の坂手洋二さんが
今回の舞台と絡めてアイホールについても語られていますので
掲載しました


「メインになっているのは、継続することをあきらめてしまった、2つの酒蔵の家族の話。
次男が空っぽの巨大なタンクを、原発の汚染水を貯めるタンクと比較することで、原発のイメージも重なっていきます。そこに沖縄移民の歴史や町おこしの話など、3つぐらいの要素がまじりながら進んでいく。福島の問題は本当にまだ解決されてないし、被害の状況も多方面に渡っていて、とても一口では語れませんが、フィクションの中にいろいろと事実を取り入れています。

そしてツアー最終地となる、伊丹市の公立劇場[アイホール]は、現在「地元の人たちの利用が少ない」などの理由で、演劇専用劇場としての存続が危ぶまれている(補足:会見後の11月18日に、伊丹市が“当面の存続”を決定)。燐光群の関西公演も、ほとんどこの劇場で行ってきただけに、劇場継続への熱い思いと、そのために何ができるかについてもコメントした。

「アイホールの空間は、通常の小劇場よりも大きいので、その空間をフルに使ったものを観せたくなります。今回の公演でも、大きな2つのタンクを(舞台美術で)出しますが、それはアイホールの広さがあるからできること。かつて伊丹は、街の新しい個性として「演劇がある」ということを打ち出したわけですが、今はそれがひっくり返って「地域の役にたっていない」と言われてしまうのが悲しいですね。

僕らもアイホールとともにずっとやってきたけど、「利益を出さねばならない」と周りから言われて、たとえば劇場費が高くなってしまったら使えなくなる。今のやり方がなぜ優れているのかを、もう少しみんなでアピールしなきゃいけないんじゃないか、と。こんなことを言うのは酷ですが、住民との接点をあまりにも持っていなかったのではないか? というのは、ある程度謙虚に考えないといけない所ではあると思います」。

 

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