清州橋散歩  
    
2008年10月     
山と橋を渡る  Masao's Photo Gallery





東京に用があり、隅田川の岸辺から橋を観ることができた。ホテルに入る前に清州橋の夜景が見たくなり、お弁当を買って、橋を眺めながらの夕食にすることにした。
 地下鉄「清澄白河」の駅を出て、清州通りを左方面に5分ほど歩くと「清州橋」が見える。清州橋はもう少し上流にある萬年橋からの眺めが美しいと聞いていたので、さっそく行ってみることにした。萬年橋のたもとに「ケルンの眺め」と記した石碑があって 「ここから前方に見える清州橋は、ドイツ、ケルン市に架けられたライン川の吊橋をモデルにしております。この場所からの眺めが一番美しいとされています。」 と書かれていた。
 



 隅田川の岸辺はよく整備されていて、ほどよい間隔にベンチもあって、ひとり夜中に弁当を食べるにもちょうどよい(?)。
 清州橋のイルミネーションも高層ビル群の夜景ともマッチして美しい。滅多にこれることもないので、今日はよかった。弁当もうまかった。
 四ツ谷のホテルに着いて、ひとりぶらりぶらり、「主水」という郷土料理の店があって、島根の店と書いてあったので懐かしく思い入ることにした。宍道湖と称する刺身の盛り合わせを注文し、懐かしい松江・李白酒造の「やまたのおろち」という恐ろしそうなお名の酒を飲んだ。綺麗な橋を見た余韻と、うまい刺身とお酒、店の雰囲気もいいとあって今日もまたよい夜となった。



 翌日、時間が余ったので、もう一度清州橋を見ることにした。「ケルンの眺め」に立つと、夜とはまた違った趣が感じられる。









なぜか、芭蕉の像があった。近くには芭蕉稲荷神社や芭蕉記念館があって、芭蕉さんはどうやらここらに庵を結んでいたようだ。
清州橋は吊橋であるが、
ワイヤではなく細長い鉄板(アイバー)を
ピンで連結した今では珍しい橋だ。
アイバーによる吊橋は
ブタペストのドナウ川に架かる
セーチェーニ橋があり、
ヨーロッパで最も美しい橋の一つとされている。
一度は見てみたい憧れの橋である。








 アイバーの橋で、吊橋ではないが斜張橋でロンドンテムズ川に架かるアルバート橋(右の写真は20年近く前に撮影)を思いだした。アルバート橋は1873年に完成した古い橋で、幾度か補強が行われ、現在でも車が通行している現役の橋である。 支間中央部に橋脚が追加されている。
イギリスにはアイバーでできた橋はいくつかあってメナイ橋や コンウィー城の吊橋などまだ見たことはないが写真で見ると美しい。



萬年橋 1930年完成

 清州橋が最も美しく見える「ケルンの眺め」は萬年橋の袂にあり、芭蕉の庵もこのあたりにあったようだ。江戸時代の萬年橋は広重や北斎の浮世絵にも描かれている。 
      北斎 富嶽三十六景 深川萬年橋







永代橋 1926年完成

 タイドアーチ橋 橋長210.7m 橋歴板には製作神戸川崎造船所 材料の内 鋲は神戸製鋼所とかすかに読み取れる。
 最初の橋は1698年に架けられ、幕府は20年後に財政上の理由から廃橋を決めたが、請願により町方の負担により維持管理が行われていた。しかし、文化4年(1807年)年8月19日、深川富岡八幡宮の12年ぶりの祭礼日に詰め掛けた群衆の重みに耐え切れず、落橋事故を起こす。橋の維持管理の重要性に気づいた幕府により再び架橋されることになった意義深い橋である。



中央大橋 1993年完成

 隅田川で最も新しい斜張橋、後方の超高層マンションに負けない鋭い 尖塔である。通常の斜張橋に比べ塔が高いのは高層マンション群を意識して作られたのだろうか。永代橋から眺めるとちょうどよいバランスである。





豊海大橋 1927年完成

フィーレンデール橋






 豊海大橋の橋詰には橋の説明と永井荷風の文が記されていた。
隅田川の橋にはこのような碑が沢山あり、
岸辺も綺麗に整備されていて
、気持よく散策できる。

 「豊海橋鉄骨の間より斜に永代橋と佐賀町辺の燈火を見渡す景色,
今宵は名月の光を得て白昼に見るよりも 稍画趣あり。
満々たる暮潮は月光をあびてきらきら輝き,
橋下の石垣または繋がれたる運送船の舷を打つ水の音亦趣あり。」

   永井荷風「断腸亭日乗」



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