『ベニスの商人』
観劇記 あまご
5月23日 
          作 : シェイクスピア  
          訳 : 坪内逍遥
           演出: 西川信廣  
          文学座新モリヤビル1階稽古場                 
 
文学座はシェイクスピア生誕450年を記念して
「シェイクスピア祭」と称して
来年1月のアトリエの会「リア王」の上演までの1年間に
連続リーディングやシンポジュウムなど
シェイクスピアにかかわる様々な企画を計画しています。
最初の本公演は
「尺には尺」と「お気に召すまま」の連続公演
残念ながら「尺には尺」は満席で
かろうじて「お気に召すまま」を観ることができました。

リーディング・春のシリーズ
「エドワード三世」「じゃじゃ馬ならし」「タイタス・アンドロニカス」
「ロミオとジュリエット」
そして
「ベニスの商人」
神戸で働いていると全てという訳には行きません。
せめてシーリーズ1本は観てみたい
あとは戯曲を追っかけ読むしかないですね。

「ベニスの商人」は小学校の国語クラブで
読み会した懐かしい作品
中身に関する記憶は肉1ポンド以外ありませんけど・・・
今年4月「おしゃべり新劇史」の戯曲を読む会で
たくさんの新しい発見をしました。



さて舞台は
文学座の新モリヤビル1階稽古場
始めてです。
稽古場ですから50人ぐらいかな
満員でした

黒いスーツ姿の若手の俳優さん達が現われて
ポーシャもネリッサも男優さん
男優8人による「ベニスの商人」でした。
上演時間は120分
リーデイングとはいえここまで短くするのは大変です。
シャイロックの娘ジェシカとロレンゾーの愛の部分や
箱選びの銀の箱の部分はカットされていたような・・・
有名な指輪のシーンは男同士の恋のさや当て
爆笑!爆笑!

黒のスーツ姿の男優に混じり
着物姿の加藤武シャイロック
渋い台詞回しと苦味切った表情
肉1ポンドと引き換えに血1滴も流すなと
ポーシャにしてやられた悔しさが・・・にじみ出ます。

この戯曲は「The Merchant of Venice」であっても
主人公はベニスの商人アントーニオではなく
シャイロック
戯曲の読み会のとき
シェイクスピアは嫌いな人物であっても
その人物になりきって表現するから凄い!

話し合ったことを思い出しました。

演出の西川信廣さんがパンプレットに寄せた
「加藤武でシャイロックを」

 作紺の世界各地の扮装を見ていると、アメリカ、ロシア、そして中国などの大国が少数民族や、宗教の違う民族を力や「正義」という名の下に押さえつけようとしているように思える。それも、自分たちに都合のいい「正義」「秩序」という論理をもってである。そこにシェイクスピアのこの作品を重ねると、数や力で少数を抑え込もうとする「大国」の横暴さと奢り、それに押さえつけられた人間の痛みと、そして悔しさ。それらが、シャイロックを通して痛いほど伝わってくる。
シェイクスピアの芝居には
タイタス・アンドロニカスにでてくる
残酷なムーア人アーロンも生き生きとしています。
黒人将軍マクベスもムーア人で異教徒ですね。

シエイクスピアはキリスト教徒で
ユダヤ人やムーワ人は本来好きではなかったそうですが
にもかかわらず
魂が乗り移るとは・・・

シェイクスピア・リーデイングはこのあとは「夏のシリーズ」
6月17日(火)〜22日(日) リチャード二世
恋の骨折り損
ウインザーの陽気な女房たち
7月9日(水)〜12日(土) 「夏の夜の夢」

続きます。
ご一緒しませんか!


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