『休暇Holidays』

観劇記 あまご 
          作 : ジョン・ハリソン  
          訳 : 水谷八也
           演出:栗山民也
          地人会新社 赤坂レッドシアター         
 
 今年の東京観劇旅行の第一弾は「休暇Holidays]、昨年のウエスカー作「根っこ」に続いての地人会新社第三回公演です。
 主人公ローズ(保坂知寿)は若くして乳がんを患い片方の胸を切断、若いので再発の危険性があると言われながらも、奇跡的に7年間は何事起きませんでした。癌との戦いに勝利したかと見えたのですが肺に転移したことが解り、再度癌との戦いが始まります。ローズはカウンセラーの勧めで彼女の別荘に行き、ただ一人になってこれまでの出来事をテープレコーダーに吹き込み1週間後に今後の治療方法についての選択を下す約束になっていたのです。夫アーサー(永島敏行)と過ごしたバカンスの数々の思い出が舞台の中に現われては消えてゆきます。やがて約束の1週間が・・・
 この芝居、ほとんどローズの語りによる静かな静かな芝居、場面の転換に使われたあの音楽はどこかで聞いたことのある調べ・・・
 突然ボイラーが壊れて、修理工(加藤虎ノ助)が現われて、意外な展開に・・・
 最後はローズがあてのない休暇に出かけるという幕切れとなります。実に辛い芝居でいた。女性陣はよかったみたいですね。
 演出の栗山民也さんがパンプレットに「地人会新社」に、心からエールを!として、こんな言葉を寄せていました。
 なんだか、近ごろは「演劇」を観られなくなった。というか。「演劇」がなくなっていくように思う。人間の言葉で綴られた、人間の声の劇が観たい。もう大きな声も、上からの強い声もいらない。小さな、しかし切実で懸命な生命の声が、今必要に思った。
 シエイクスピアが云うように「この世はすべて一つの舞台、人は男女を問わずすべて役者にすぎぬ」という言葉と重ねると何かが見えてくるような気がします。
 夜の部はマーテイン・マクドナー作「ロンサム・ウエスト」そして明日はシェイクピアの「テンペスト」です。




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