『観劇記 UNIQUE NESS』

観劇記 あまご 
2014年8月4日 
青年座劇場 
          作・演出: 早川康介
                   
 「UNIQUE NESS」? 変わった芝居? 青年座の小さな劇場に入ると、正面に大きな額縁があって、その奥に大小の額縁がたくさん配置されています。プロセニアム・アーチ(額縁芝居)を逆手に取った現代劇?面白そうです。昨年10月の「夜明けに消えた」は左右の客席の間に舞台があるというオープン形式の舞台でしたから、小さな稽古場という空間での芝居は様々な工夫があってこれから始まる物語への期待が高まります。青年劇場60周年を記念しての「Act 3D〜役者企画 夏の咲宴」、関西の『劇団ガバメンツ』を主宰する若手脚本家・演出家「早川康介」による書き下ろし作品です。

  舞台が暗転して、開演の挨拶?スピーカーから聞き覚えの声が流れます。「・・・私の出番はこれだけなの?・・・高畑淳子です。」爆笑の拍手と共に、役者達が額縁の中に入って芝居が始まります。舞台の中央にベッドがあって、病院の一室、あの有名なネス湖の未確認動物ネッシーの写真を発表した外科医がなくなり、写真の唯一の関係者となった「ハロルド(大家仁志)」のベッドでした。「ハロルド」は外科医の死後、著名となり、かなりの資産を蓄えていたようです。そして、彼の死期も近づいているようです。病室には次々と見舞いの客が訪れます。ハロルドの遺産を欲しがる叔父夫婦、ハロルドに人生を狂わされた、前妻・愛人・昔の恋人・友人達、妹で彼のお世話をする看護師ハンナ(橘あんり)が狂言回しとなり、病室に訪れる見舞客とハロルドの関係を見守っています。ハロルドの死期が迫ると共に、彼の人生に纏わる、すべての出来事が解き明かされて行くのですが、はたして「ネッシー」は居たのか?  



 ヒュー・グレイ 「外科医の写真」
1933年11月13日
  見舞客は額縁から現れ、ハロルドとひと悶着のあと、再度額縁に帰って行きます。現われては戻り、また現れる。現在と過去が交差しながら、まるで思い出の写真のように、脳裏に浮かびながら消えてゆく、全然悲しくないユニークネスな喜劇でした。


      小豆畑雅一、森脇由紀、大家仁志、橘あんり、遠藤好、高橋幸子、津田真澄、、高松潤
                                   嶋崎伸夫、     山野史人、万善香織
                                        パンプレットから
  このような芝居もあるのですね。ベッドを舞台の中心に置いた芝居は、昨年、作:別役実の『象』という芝居がありました。この時の演出家、芦屋生まれの「深津篤史」さんは、先月7/31に若くして、46歳で亡くなられました。ベッドを見ながら思い出します。とても期待していた作家だけに残念です。しかし、関西にも早川さんのような若き劇作家(34歳)が現われていること、とても嬉しく思いました。青年座の若き作家たちを発見し、見守り、育ててゆく姿勢にはいつも感心します


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