『ぶた草の庭』 MONO第42回公演

観劇記 あまご 
2015年3月22日 
大阪 HEP HALL 
 作・演出: 土田英生
         
 公演も終了したようですから
パンプレット等を読みながらまだ冷めぬうちに
芝居のあらすじなど書いてみました。
2015年4月5日

                   
 舞台は古い民家の居間、天井には大きな梁が渡り、壁もテーブルもベンチも椅子も趣がありMONOの舞台装置はいつも感心させられます。やや右手奥に見えるガラス張りのボックスとの違和感がこの芝居の仕掛けでもありました。台所があって窓の外にはぶた草が茂り、遠くに山が見えます。ここは本土から遠く離れた島。この建物で集団生活をしているわけではなく、それぞれの家があり、ここは物資の配給を受けたり、本土と連絡したり、相談したりする集会所のようなところです。

 ガラス張りのボックスの中に防護服を着た厚労省の職員:籾山オサム(高坂勝之)が現われて、この島の存在理由が明らかになります。ここに暮らす人は原因不明の伝染病にかかり、本土から隔離されているのです。

 リーダーの山岸正巳(水沼健)は元厚労省の職員で、坂木俊(尾方宣久)も元職員で山岸の部下、二人は患者と接するうちに感染してしまったのでした。
 高台暁明(土田英生)と高台浩宇(奥村康彦)は「ガンジ山」という不思議な集落の出身、関西弁と名古屋弁と広島弁がミックスしたような言葉のやり取りが面白い。
 南ノリト(金替康博)はいつもの感じで、彼の悲しみや失意に不思議な笑いが沸き起こります。
 柳原裕香(山本麻紀)はこの島に住む唯一の女性患者、それゆえ実力以上に素晴らしく輝いていると仲間に言われます。


パンフレットより

 伝染病はヨコガワ博士が発見したからヨコガワ病と呼ばれるようになったかどうかあいまいだけど、身体にあざが出て記憶が徐々になくなりやがて死んでいくという原因不明の病気。最初は高齢者に多く発生し、やがて若い人たちに・・・。この島にはもうお年寄りは居ません、男性五人と女性一人の生活、外の世界との繋がりはガラスボックスの中の職員だけです。
 やがて、新しい患者が、南ノリトの妻の南江里菜(もたい陽子)、ガンジ山出身の高台美帆(高橋明日香)、そして新婚早々に伝染してしまった川口ナオ(松原由紀子)、そして連絡員だった籾山オサムも・・・。
 政府はこの島に連絡員を置くことを中止し、これまで船で運ばれてきた物資はヘリコブターから投下されるようになりました。半ば見捨てられた島、見捨てられた人達・・・
 沖縄のこと、福島のことが浮かびます。



 救いの無いような芝居だけど笑いがあってMONOのチラシに

絶望の中、それでもこれは喜劇なのだ

救いといえば
ナオの未来についての朗読
そしてガンジ村の人がおやつに食べる虫に刺されたリーダー山岸
なんだか記憶喪失が治ったかのような終幕
絶望の中に見える小さな希望
MONOらしい爽やかさを感じるいい芝居でした。



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