『クライムス オブ ザ ハート 観劇記』 

観劇記 あまご 
2015年4月17日 
 赤坂RED/THEATER
           作:ベス・ヘンリー、訳・演出:田中壮太郎
           地人会新社第4回公演

                   
芝居仲間4人による、東京観劇ツアーは今年で4年目となりました。
スタートは地人会新社の旗揚げ公演と重なります。
地人会新社の第1回公演は『シズウェは死んだ!?』
とても見たかった芝居ですが調整がつきませんでした。
第2回公演 ウエスカーの『根っこ』は重なりました。
その半年前に東京演劇アンサンブルの『大麦入りのチキンスープ』
『僕はエルサレムのことを話しているのだ』を見ましたから
とてもタイミングよくウエスカーの三部作を見ることができラッキーでした。
第三回公演は『休暇 Holidays』
ツアーメンバーの女性陣3人はとてもよかったそうですが
私は男性、ちょっと辛い芝居でした。
そして第4回公演も、また私たちの第4回観劇ツアーに重なります。
皆さんとてもよかったそうです。



 「クライムス オブ ザ ハート」、個性的で強烈なインパクトがあるアメリカ版チェーホフの三人姉妹ともいえる物語です。1974年の秋、最大級のカミール台風が大被害をもたらしてから5年後、日本では20年間続いた高度成長期が一段落して石油ショックが起きた頃です。場所はアメリカ・ミシシッピー州ヘーゼルハーストにある三人姉妹のお祖父さんマグラス家のキッチンが舞台です。
 ばらばらに暮らしていた全く性格の違う三人姉妹が三女ベイブ(趣理)の殺人未遂事件のため久々にマグラス家に集まることになり、長女レニー(広岡由里子)と次女メグ(栗田桃子)それに従妹のチック(小飯塚貴世江)が加わって壮絶なバトルが展開します。
 長女レニーは子供が産めないコンプレックスがあり、束の間の恋すら祖父の介護で忘れてしまい、婚期を逃してしまった、ちょっと恥ずかしがり屋の中年女性。次女メグは母の首つりを目撃し発狂寸前になり、嵐の夜になぜか恋人を捨て歌手になるために家を出てしまった、ちょっと男ポイ感じのする魅力的な女性。従妹のチックは問題児のメグのことが嫌いらしい噂好きの女性。そして、若くして地元の有力者と結婚してしまった三女ベイブ、あっけらかんとした御茶目な少女のような女性だけど、なぜか夫を銃で撃って殺人未遂の罪を負い、これから裁判が始まろうとしている。
 四人の女性に加えて、メグの元恋人ドック(網島郷太郎)やベイブの夫の不正を憎む有能な若手弁護士バーネット(亀田佳明)がベイブの専任弁護士として加わって、六人の旬な俳優たちによるドキドキするような芝居が展開していきました。
 たくましき三姉妹、ラストの場面はレニーの一日遅れの誕生日、ケーキに並んだ40本のローソクに火をともし、レニーは何を願ったのか・・・明日は牢獄に繋がるかもしれない恐怖を抱え込みつつベイブは微笑む、そしてケーキを食べながら笑いあう姿に、世間の眼と戦いながら力強く生きてゆかねばならない三姉妹、思わず涙が頬に伝わるのでした。




 こんなにシリアスで、笑えて
あり得ないようで、あり得るかもしれない事件
悲しいようで楽しい
こんな芝居に出会えて、とてもラッキーでした。
個性的な女優陣、広岡さん、桃子さん、朱里さん、小飯塚さん
そして二人の男優、網島さん、亀田さん
拍手!拍手!拍手!

栗田桃子さんは
7月に「父と暮らせば」の神戸公演でまたお会いできます。
とても楽しみにしています。
またこの芝居
もう一度見てみたいと思いました。
神戸の例会になればいいですね。
観劇ツアーの面々もきっと同じ思いだと思います。 





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