『春、忍び難きを』 

観劇記 あまご 
2015年9月5日 
 
          作:斉藤憐 演出: 佐藤信・眞鍋卓嗣(たかし)
                   
 以前台本を読んだときにイメージは、「逞しい女たち、情けない男たち」のイメージがあったけど、男たちもそれなりにたくましく感じました。戦後のどさくさの中でよし江の夫三郎の戦友と偽り、亡き三郎の後釜として、よし江と仲良くなりかけた帰還兵合田はいやなイメージが強くありましたが、舞台での印象は、さほど悪い奴でもなさそうと思えたのが不思議だでした。正体がばれたあと、よし江をはじめ望月家当主多門の嫁サヨや多門の姉トメ達はそのことを承知でいたこと。最後のトメのセリフが合田を救いました。したたかな女たち・・・あの時代の家を守ることが生きて行くことに直結していたとは・・・理解できるような、できないような・・・確かなことはよし江が合田を愛し始めていたこと、去ってゆく合田を追って、見つけられなくて、しょんぼりもどってくるよし江は愛らしかった。

 トメ 「合田さんみてえな若い男が、またひょこり迷い込んでくんねいかね。こっちは、網張ってまっているんだがね。
 このセリフが合田を救ったとゆうか、望月家の三人女のたくましさを感じ笑ってしまいました。

 前日、演出の眞鍋さん・三郎役の脇田さんと食事して色々とお聞きしたことも良かったのかもしれません。三郎もよし江の心をつかみきれない情けない男だと思っていましたが、理想と挫折が重なりあってなかなか良かったです。望月家の三人の女性サヨ(川口敦子)、トメ(美苗)、よし江(井上薫)そして長男太郎(加藤佳男)の妻さわこを演じた早野ゆかりさんも良かった。多門を演じた小笠原良知さんはとても存在感があって芝居をグッとひきつけてくれました。
 芝居を観た後、九州に仕事に旅立って、ぼんやりしていたものですから、すこし薄れてきましたが、台本を読みなおしながら、うすれゆく印象が消えないうちに留めてみました。



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