『お召列車』 

観劇記 あまご 
2015年12月11日 
伊丹 アイホール 
          作・演出:坂手洋二 燐光群

                   
 毎年12月になると
伊丹アイホールで燐光群の芝居が
夏には大阪のウイングフィールドや神戸のアートビレッジで
いずれも200人も満たない小さな劇場で
毎年2本の燐光群による芝居が上演されます。
とてもリーズナブルな料金で
新劇ファンにとってこれほど嬉しいことありません。
昔、杉村春子さんが新劇とは?の問いに
「小劇場で上演する芝居・・・」
と答えられていたような記憶があります。
 小さな劇場で
今の旬なできごとを過去に起きた事件と絡ませながら
時と空間が交差しつつ突き進んで行く
坂手洋二:作・演出による燐光群の芝居
「今、新劇を見ているのだ!」
そんな思いに駆られるのです。
 さて
今回の芝居も現在と過去
走る列車の中での出来事・思い出
時空を超えたドラマが展開します。
会場に入ると壁面にボッになった東京オリンピックのエンブレム
この図柄とお召列車はどう繋がるのか?
細長い舞台に置かれている座席と連なるソフアー
事務用椅子
そして古いオルガンらしきもの・・・

 お召列車は天皇・皇族・国賓達が乗る
「御料車」を連結した6両編成で走行する列車ですが
一般用の豪華列車としても走行することもあるそうで
この場合は「御料車」を外した5両編成になるそうです。

さて、芝居のストリーです。
 新たな東京オリンピックに向け
天皇のために特別運行された「お召し列車」を一般にも公開して
海外からの来場者への“おもてなし”として走らせようという企画が起きました。
コンペには代理店2社が競合
1社は昔ながらの「御料車」をロイヤルトレインとして復活させる案
もう1社は現在運航しているE655系のハイグレード車両を走らせる案
選考のため2案の車両を連結しその間に第三案の舞台に登場する車両がある。
その第三案の車両こそハンセン病患者をのせた
隠語で呼ばれた「お召列車」なのでした。
乗客は
判定のために無作為に選ばれた10人

そして
ハンセンの公立巴久高校の分校として開校した
かって新良田教室に入学するためにお召列車に乗せられた3人の同級生
女:渡辺美佐子、シズエ:中山マリ、ヤマトミ:鴨川てんし
そして女の姪っ子?若い女:宗像祥子
(上の写真のメンバー、左端は審査員の一人タチバナ:円城寺あや)
その他
女の息子(男:亡霊):猪熊恒和
若い娘の父親:大西孝洋が知らぬ間に乗り込んで判定の司会者に
その他ツアー・コンダクターや
アンドロイドであって実は本物の人間であって
やはりアンドロイドかもしれない女車長:樋尾麻衣子

2時間と少々の短い芝居に
様々な想いがこれでもかと詰めこまれた芝居
過去と未来
事実は意外な展開に

俺たちは今に生きているのだ!
そんな思いの立つ芝居でした。




 
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