『観劇記 オレアナ』 

観劇記 あまご 
2015年12月13日 
 
          作:デイヴィッド・マメット 翻訳:小田島恒志 演出:栗山民也  
          パルコ・プロデュース公演  森ノ宮ピロティホール

                   
 現代アメリカ演劇界の鬼才・デイヴィッド・マメットの代表作「オレアナ」を見て来ました。大学教師(田中哲司)と女子学生(志田未来)による二人芝居です。志田未来さんは全く知らなかったのですが、芝居の終わった後いつもの『木下』で雑談、若い店員さんに聞いたら結構有名な女優さんだそうです。私たちの座席の両隣は若い男性、意外と男性が多かったような気がします。きっと彼女のファンなのでしょうね。最初、彼女のセリフは早口で何を言っているのか解らないので、あまり舞台慣れしてない女優さんだなと思いましたが、田中哲司を相手に堂々と見応えのある演技でした。あとで思えば、なにを言っているのかわからないところも、あれはあれでよかったのかと思います。 1幕の切羽詰まった立場から2幕は逆に追い詰める側に、そしてラストの怒り!見事な展開でした。
 この作品は1992年初演、ブーイングと喝采、見事に評価が分かれた作品だったそうですが、その衝撃的なテーマはマスコミの話題となり、現在でも世界中で上演され続けているそうです。
 この芝居、アーサーミラーの『るつぼ』に似た恐怖を感じましたし、恐怖を作り出してゆく今の日本姿を写し出しているようにも思いました。あまり関わりたくないと思いつつも関わらなければならぬとつい関わってしまうこと。そして関わってしまったこの怒りはどうぶつけてゆくのか・・・今を考えさせられる芝居でもありました。

 日本での初演は1994年、演出:西川信廣、出演:長塚京三、若村麻由美
 再演は 1999年、演出:西川信廣、出演:長塚京三、永作博美
 なかなか魅力的な役者さんが演じています。
  あらすじはパルコ公演情報から



昇進を目前に控え
安定した晩年の設計図で頭がいっぱいの若き大学教師[ジョン]
一人の女子学生[キャロル]が彼の研究室を訪れ
授業についていけないとパニックに陥り
どうか単位を取らせて欲しい
と涙を浮かべて懇願する。
彼女を慰めようと、紳士的な態度で相談に応じるジョン。
しかし後日
キャロルがジョンを“ある理由”で大学当局に訴えたことにより
前途洋々だったはずの彼の未来は打ち壊されていく…。
言葉を尽くせば尽くすほど深まるディスコミュニケーションの溝。
彼女が彼を訴えた“理由”とは?彼は彼女に“何を”したのか?

大学教師ジョンを演じた田中哲司
最後の怒りは共感します。
しかし
現実は・・・
この怒りはどうしたらいいのでしようか


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