『裸に勾玉』 MONO

観劇記 あまご 
2016年3月26日 
大阪ABCホール 
          作・演出: 土田英生  
                   
いつもながら 
あっと! 驚かせられる
 MONOの現代劇
今回の舞台は弥生時代にタイプスリップ
現代と古代が交叉する鮮やかな舞台でした。

舞台は中央に高床式の建物があって
左右に茅葺の住居
MONOの舞台は相当凝っています。
舞台美術はいつもの柴田隆弘さん
出演者はMONOの男優5人に前回の「ぶた草の庭」に客演した
4人の女優さんが揃って
いいハーモニーでした。
観客席も若い人たちの笑いが響き
舞台と観客が一体となり
よき雰囲気に包まれました。




ストリーはMONOのHPから

ここは狗奴(くな)の国
邪馬台国との戦さに備え
なんだか周囲は殺伐としている
そんな中、ある集落のはずれに
間抜けな三兄弟を中心にした家族が住んでいた
彼らはとても愉快に暮らしている

ある日、不思議な男が紛れ込む
追っ手から逃げてきたらしい
「うわ、早く追い出さないと 」
「あいつは仲間じゃないんだから」
「……だけどあの人、泣いてたよ」


今日3月27日が最終公演ですから
記憶に留めるために


間抜けな三兄弟?
どことなくのんびりした長男のオユマロ(金替康博)
弱虫のアクタ(水沼健)
要領の良いシコオ(奥村泰彦)には妻が二人いる
占い師のウシメ(山本麻貴)と踊り子のマトリメ(高橋明日香)
そして三兄弟の妹アマリ(松原由希子)はしっかり者で働き者
奴隷になるはずだった親のない子ども達を
オトヒコという今は亡き男が育てくれた。
兄弟たち家族は狗奴のはずれに住んでいるが
狗奴にも邪馬台国にも従わず
畑を耕し猟を営んでいたのです。
そのため
周りから嫌われ厄介者扱いされていました。
周りと同調せず生きてゆくのは
オトヒコの意志だったのです。
権力に妥協しない者の運命はいつの世も同じです。

オトヒコの意志を継いだ兄弟たちはオトヒコ亡き後も
周りと妥協することなく
仲良く幸せに暮らしていたのです。
そこに
ひとりの侵入者が・・・
それはスーツを着たサクライ(尾方宜久)
現代からタイムスリップして
一緒にいたはずの妻サヤ(もたい陽子)を半年も探していたのでした。

現代日本の言葉と
多分土田英生造語の弥生言葉の会話の始まりです。
弥生言葉には濁音がなく
外国の人が喋るたどたどしい日本語のような感じで
うまい設定だな〜と関心しました。
・・・・・・・・・・
物語は進んで
なんと
サクライの妻サヤは狗奴の村の長の妻となり
サクライの上司キモト(土田英生)は長のアドバイザーに
この辺りが現代社会を風靡していて実に滑稽!
サヤはここでの生活に満足しているという
幸せだと言う


ここで全ての役者がそろいました。
この後どうなったかは想像にお任せします。

人はどのような意志によって生きるのか
昨年の「ぶた草の庭」に続いて
悲しみを笑いの中に
じっくり仕込んだ芝居作りに感心します。

関西にこのような劇団があることを嬉しく思います。

 

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