『愛の眼鏡は色ガラス 観劇記』 

観劇記 あまご 
2016年4月15日 
 座・高円寺 
          作:安部公房 演出:望月純吉(文学座) 
                企画:筒井事務所・奥村飛鳥

                   


今年で5年目の東京観劇ツアー
初日はツアーメンバーよっしー憧れの座・高円寺です。
座・高円寺には
座・高円寺1 座席数238
座・高円寺2 座席数256席〜298席
二つのホールがあって今回は地下2階にある座・高円寺2
芝居にとっては理想的な空間です。



安部公房 23年前に(平成5年)に亡くなりましたけど
ノーベル賞の候補にもなった有名な作家・劇作家です。
最近あまり上演される機会が少なくなりましたが
無名塾26期生・さいたまネクストシアター1期生の
女優・奥村飛鳥さんが2012年に筒井事務所を立ち上げ
第1回公演が安部公房の「友達」
第2回が「棒になった男」
そして今回が第6回公演「愛の眼鏡は色ガラス」




安部公房を積極的に上演されています。
奥村飛鳥さんは
仲代達也・蜷川幸雄に鍛えられた女優さんですから
舞台に華がありました。
自分はオフェリアだと思いハムレットを捜している女Aの役



そして女Aに憧れる白医者は中島歩
花子のアンで宮本龍一を演じていたそうです。
テレビはあまり見ないので・・・
最近みた舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」−近松門左衛門「心中天網島」で
治兵衛/ジロウ 役でした。


パンフレットより

装置も不思議な舞台でした
椅子が空中にぶら下がり
いきなり透明なビニール人形を抱いた男(山森大輔:文学座)が現われ
透明なビニール人形=ゴム人形は妻だという

登山の装備した男(ナカムラユーキ)がうろうろ
そこに
色っぽい女B(日野加奈愛)を追いかけて
60年代の全共闘のヘルメット男女が飛び込んで来ました
オレンジヘルメット(蛯名将太)
グリーンヘルメット(中島晃紀)
縞ヘルメットの医学生(本山由乃)

赤い色の眼鏡をかけた赤医者(笹原紳司)は色情狂の患者?
まともなのか狂っているのか・・・

自分だけはどんなことをしても死なないと思っている首つり男(端本宇良)

色っぽい女Bは放火魔?だと学生はいう
女Bの仲間で消火器のセールルマン(鈴木太一)
分けの判らない人物がうようよと
ここは精神病院???

あらすじです
正気と狂気が交差する精神病院
患者はそれぞれの問題と、医者は 患者と向き合っている
その姿は一見普通の精神病院だが、
実は 彼らには“あるべき境”がなかった。
医者のような患者、患者のような医者、正気を演じる者、狂気を演じる者・・・。
まるで社会のブラックホールのような空間へ、
突然全共闘の学生が入り込んできたことで彼らの常識は形を変え始める。

(エントレから)

まされるなよ。
君たちは、からかわれているんだ。
ここは
気違いなんか、居はしない。
精神病院の看板を利用して、
悪質な商売をやっているだけなんだ。
公演パンフレットより

放火魔の女を女を追ってやって来た全共闘の学生たちは
患者を自由勝手にさせている病院の体制を批判し
放火魔と消火器販売をセットにして資金稼ぎをしている病院に金を出せとゆする
ところが
背後から忍び寄った看護人(大塚尚吾、立花諒)が学生を捕まえ
三角にたたんだピンポン台にまたぐらをのせて
赤医者がスイッチを押すと拷問台に
学生たちは降参
すると
透明人形を抱いた男が東京を全焼できるという
ハムレットと称する小箱を学生に買えとせまる
学生たちがこそこそと相談している間に
ハムレットは誰かに盗まれた!
やがて
舞台は赤く染まり轟音とともに
小箱を持ったオフェリヤ女Aが現れる
舞台中央に飾ってあった
赤い自由の女神像(後藤祥子)が突然歩きだし
女Aの持っていた箱から大きな卵を取り出し
からだを揺らし始める
舞台は異様な雰囲気に包まれ
やがて静かに暗くなっていった

これが60年代の芝居なのか・・・
狂気と混沌

昔、安部公房作「未必の故意」という作品を見ました
どんな内容だったかすっかり忘れて
本箱を捜したら
安部公房作「緑色のストッキング」という本が出てきました。



この本も読んだ記憶がないのですが・・・
ぱらぱらとめくると
この戯曲も病院を舞台にした作品です。
おもしろそうです
連休の間に読んでみよう!

安部公房の父はお医者さんで
公房さんは医者にはならなかったけど医学部をでているそうです
なるほどと思いました。

安部公房の戯曲はあまり多くないようですが
奥村飛鳥さんは公房の作品を発掘されているようです。
また上演の機会があれば見に行きたいと思います。

奥村さんはパンフレットの中で
安部公房の作品ほど”求める戯曲”はありません
見る者には思考を求め
演る者にはその思考を促すだけの想像力を求めるのです。
・・・
舞台の上で起こることは
あなたに何を語りかけるのでしょうか。
あなたの”思考”がこの芝居を創り上げる最後のピースなのです。

最後のピースを舞台にはめ込むことはできたか
怪しいところですが
この難解な芝居楽しめました。
ツアーの仲間も
良いスタートがきれたと
その夜の宴で喜んでいました。

これから池袋に東京芸術劇場での芝居
奈良岡朋子&岡本健一の「二人だけの芝居 -クレアとフェリース」
楽しみです!

 

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