『マクベス』 
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観劇記 あまご 
2016年6月29日 
 西宮芸文 
          作:シェイクスピア 訳:河合祥一郎 構成・演出:野村萬斎
              マクベス    野村萬斎
              マクベス夫人 鈴木砂羽
              魔女1      高田恵篤
              魔女2      福士恵二
              魔女3      小林桂大 

                   
マクベス夫妻と3人の魔女たち
5人だけの芝居
登場人物を絞り込むのは能・狂言の世界に通じると・・・
少人数故に
マクベス夫妻の心の揺れが
3人の魔女たちに映し出され
純化して
凝縮した舞台になったと思います。

津軽三味線と太鼓の激しい響きの中から
3人の魔女たちがゴミ袋から現れ
背面のシルエットに浮かぶマクベスが
刀剣で切り裂いて現れます。

マクベスもまた自らの力で生まれたバンクォーの息子のように
その生命力の強さを誇示するかのような登場でした。

2年前の舞台を見た連れさんは
津軽三味線等の生演奏はなかったと言ってました。
パンプレットを読むと
萬斎さんはスコットランドを日本の北の津軽にたとえ
ゴミは人間が生み出した汚いもの
核廃棄物をイメージしたと書かれていました
前の舞台でもゴミ袋から魔女が現れたそうですが
さらに時代とともに進化したマクベスです

原子力はクリーンなエネルギー
そこから生まれるプルトニュームは厄介なもの
3人の魔女たちの有名なセリフ
「きれいは汚い。汚いはきれい。」
マクベスの表裏の世界に通じます。



三人の魔女たちは
スコットランドの前国王ダンカンにもなり
王を生み出すバンクォー将軍にもなりその息子にもなり
マクベスを取り巻く貴族や領主や兵士
暗殺者や幻影にも見事に早変わりして行きます。
3人は故寺山修司の影響を受けた役者さん達
弾かれたような身体性の高い演技
ダンスなのか
新劇の舞台ではみられない表現力でした

少ない登場人物による舞台ですから
より台詞が明確に聞こえます
シェイクスピアの芝居に出てくるフォルスタッフを文楽に仕上げた
河合祥一郎さん
萬斎さんのために日本の伝統芸能を良さを取り入れながらの
見事な台詞の言い回し
この舞台をイメージして訳されたのか思うほど
素晴らしい台詞の連なりでした。
そして
萬斎さんの立ち回りは見事というしかありません
藪原検校の舞台を思い出します。



マクベス「明日、また明日、そしてまた明日と
記録される人生最後の瞬間を目指して
時はとぼとぼと毎日歩みを刻んで行く。
そして昨日という日々は
阿呆どもが死に至る塵の道を照らし出したに過ぎぬ。
消えろ、消えろ、束の間の灯火!
人生は歩く影法師。
哀れな役者だ。」

今年はシエイクスピア没400年
先週は蜷川幸雄追悼公演「尺には尺を」を見ました。
今年も続きそうです。



楽しみです!
写真はパンフレットより
 

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