『横濱短篇ホテル』 神戸演劇鑑賞会9月例会
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観劇記 あまご 
2016年9月16日 
 
          作:マキノノゾミ 演出:宮田慶子 劇団青年座 

                   


それは人生を映し出す鏡のような芝居
三年前の初演は、芝居仲間との東京観劇ツアーの最終日に観ました。
その時の観劇記では
「ディナーの後に美味しいデザートをいただいたような気持になりました。」
と書いていました。

今回の再演、また一段とお洒落度が磨かれ
「こんなに素敵な芝居はなかなか見られませんね」

嬉しい感想がサークルの仲間からも聞こえました。
私自身は今回運営サークル担当で
日々追われるような気持ちでいたものですから
芝居を楽しむというより、見終ったあとも、何処か放心状態で
打上会が終わった今でもその余韻が続いています。
芝居を観る喜びは芝居を楽しむことで
今回の芝居はまさにそんな芝居なのですが
私にとっては二度目、少し違った角度から芝居に関わったこともあり
「芝居とはなんだろう?」
そんな思いに取り憑かれてしまいました。
どんな芝居もそうであるとは限りませんが
この芝居は人生を映し出す『鏡』のように思いました。

「第六話プロポーズ」
ホテルのロービーの片隅でハルコの息子のケンタと恋人カオリンに
優しく語りかける大野木健太の優しい瞳には
青春の思い出が鏡のように映し出されていたのでしょうね。




左より前田聖太(ケンタ役) 世奈(カオリ役)
大家仁志(大野木健太役) 加門良(コンシェルジュ役)


そして「第七話ネックレス」
思い出の中に突然、若き日のフミヨとハルコが現れて
「第一話ヤクザに追われて」の出来事が明らかにされます。
「本来あたしの運命だったはずなのに。
このあたしが生きるべき人生だったはずなのに――
ちきしょう、まただわ。
またこの女に持っていかれたんだわって。」
腕をぐるぐると振り回しながら怒り叫ぶ
二人のフミヨはまるで鏡のようでした。

「人生は出会いと別れ
あなたが芝居を観終えて
会場を振り返った時
そこに
この芝居と重なるあなたを見つめる
もう一人のあなたに出会うことになるかもしれません。」
と会報に書きましたが
この芝居はまさに人生の鏡のような芝居でした。
悲しいことや悔しいこともたくさんあったけど
生きていて良かったと思います。

                              戯曲は「悲劇喜劇」2013年5月号

 

[第一話]ヤクザに追われて 1970年の初冬 横浜の老舗というべきホテルの客室       

       映画監督(芳崎正志)とプロデューサー(長谷川)の部屋へ
突然飛び込んできた若い女(奥山ハルコ)ヤクザに追われているという。

芳崎正志: 小豆畑雅
長谷川:   桜木信介
奥山ハルコ: 那須凜
ハルコがみごとに女優を演じ切る




[第二話]人間観察 1975年の夏 それは老舗というべきホテルの喫茶室              
シナリオ作家希望の柳井フミヨは憧れの芳崎正志に
シナリオにはしっかりした人間観察が必要だと言われる。

失望したフミヨは待ちぼうけの男(杉浦洋介)と映画に・・・
二人が立ち去ったあと
初老の男はウェイトレスに話しかける。
やがて、映画「街の灯」の音楽

柳井フミヨ:     古澤華
杉浦洋介:    横堀悦夫
初老の男:     加門良
ウェイトレス:  三枝玲奈
芳崎正志:  小豆畑雅一




[第三話] 脅迫 1980年の初秋 それは老舗というべきホテルの客室               

 「コーチ、自分は知っとるんです」
在京球団の選手が人目につかぬよう部屋へ招き入れたのは
同じチームの投手コーチだった。

選手: 小磯聡一朗
コーチ:   豊田茂




[第四話]初恋の人 1985年の初夏 それは老舗というべきホテルロビーラウンジの一角   

 女優(奥山ハルコ)は今日が自分の誕生日だというのに不幸のどん底にいた。
そんな時
偶然にも中学校時代の同級生(大野木健太)と20年の時を経て再会する。
「そりゃ、初恋の人だもん」

奥山ハルコ: 椿真由美
大野木健太: 大家仁志




[第五話]離婚記念日 1990年の冬 それは老舗というべきホテル客室              
 
毎年末このホテルにこもってシナリオを書いている。
元夫である男(杉浦洋介)とクリスマスイヴのこの日
3年振りに再会した。
「ボクらの結婚記念日でもあるし」「同時に離婚記念日よね?」

杉浦洋介: 横堀悦夫
柳井フミヨ: 津田真澄




[第六話]プロポーズ 1995年の夏 それは老舗というべきホテルのラウンジの一角        
男(大野木健太)は女(奥山ハルコ)を待っている。
そこにあらわれたのはハルコの息子(ケンタ)とケンタの恋人(カオリ)。
カオリ「てか、大野木さんがケンタのママにプロポーズしたらチョー面白くないすか」
ケンタ「なんで?」
カオリ「家の中に同姓同名が二人いることになんない」

大野木健太: 大家仁志
コンシェルジュ:加門良
ケンタ:    前田聖太
カオリ:       世奈
奥山ハルコ: 椿真由美
ウェイトレス: 三枝玲奈




[第七話]ネックレス 初夏 それは老舗というべきホテルの客室                   
有名女優(奥山ハルコ)と売っ子脚本家(柳井フミヨ)。
二人の女の遠い過去が…。

柳井フミヨ:  津田真澄
杉浦洋介:  横堀悦夫
18歳のフミヨ:  古澤華
18歳のハルコ: 那須凜
フロント係:   豊田茂
長谷川:    桜木信介
奥山ハルコ: 椿真由美



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