『幽霊』 
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観劇記 あまご 
2016年10月13日 
西宮芸文中ホール 
          作:ヘンリック・イプセン 訳:原千代海 演出:鵜山仁  

                   


文学座アトリエ公演「野鴨」に続いて
私にとって今年2本目のイプセン芝居です。
「幽霊」は
古い俳優座劇場で昔観ました。
ヘレーネ・アルビング夫人は村瀬幸子さん
息子のオスヴァルは山本圭さん
牧師のマンデルスは小笠原良知さんでした。
もうずいぶん昔なので
ほとんど忘れてしまいましたが
最後の場面は今でも強烈に焼き付いています。

今回は
ヘレーネは朝海ひかるさん
牧師マンデルスは小山力也さん
大工エングストランは吉原光代さん
三人の個性が放つ濃厚な舞台に引き込まれました。

舞台には登場しないけど既に亡くなった
アルヴィック大尉と大尉に仕えていた
女中レギーネの母が物語のカギなんでしょうか
ヘレーネの人生を狂わした二人の
悪霊
若い息子と娘に憑りついた
幽霊



ヘレーネ・アルヴィング夫人は結婚後一年たらずで
家を飛び出し
牧師マンデラスに救いを求めます。
夫のアルヴィング大尉は田舎暮らしの退屈な官職に飽きて
身も心も腐れた生活
そんな家庭から逃げ出したのでした。

ヘレーネの気持が理解できない
或いは牧師としての神への忠誠から
或いは世間の評価に怯えるマンデラス牧師は
ヘレーナを説得しアルヴィィング大尉の元に帰します。
ヘレーナは帰って来たノラなのか

イプセンが求めた自由そして愛を
アルヴィック夫人は一途に
マンデラスはコミカルに
それぞれの生き方を軸として
人生の多様性を問いかける
濃厚な舞台でした。

イプセンの世界はいつも新鮮です
最近では
多数は決して正義ではないと語る「民衆の敵」
誰からも従属されない女「ヘッダー・ガブラー」
「海の夫人」
「野鴨」
古くは
「棟梁ソルネス」
「ヨーン・ガブリエル」
「人形の家」
皆 心に焼きつく芝居でした

夢はいつかノルウエイ国立劇場で
イプセン作・グリーク作曲による音楽劇
「ペールギュント」を見る事です




翌日14日は千秋楽
三宮の中華屋さんで
力也さんを囲んでの打上会
楽しいひと時を過ごしました

 

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