『ハーヴェイ 観劇記』 
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観劇記 あまご 
2016年11月25日 
 
          作: 翻訳:常田景子 演出:西川信廣 
                        俳優座劇場プロデュースNo.99
                   


1944年ブロードウェイで初演以来4年間のロングラン
1945年ピユリッツアー賞受賞
1950年ジェームズ・スチュワート主演で映画化
神戸では1987年3月の例会でしたが逃しました。

あらすじ(公演チラシより)
 アメリカの西部の町。ドウト家のお屋敷ではでは婚活中の娘マートル(尾身美詞・青年座)のお見合いパーティが開けれている。
 母ヴェイタ(日下由美・オフィスODA)には大きな悩みがあった。ヴェィタの弟のエルウッド(采澤靖起・文学座)が人には見えない巨大うさぎ、ハーヴェイと話したり笑ったりしているということ。
 パーティのお客さん達にまでハーヴェイを紹介し始めてお相手探しはぶち壊し!
このままでは娘が一生お嫁に行けない・・・・と心配したヴェィタはエルウッドを療養所に入れようとするが----
勘違いとすれ違いが巻き起こすコメディの先に、不思議な終末が!


 
著名な精神科医チャムリー医師(清水明彦・文学座)
早とちりの若い精神科医サンダーソン(齋藤隆介・青年座)
冷酷な看護人ウィルソン(塩山誠司・俳優座)
チャーミングな看護婦ケリー(吉野実紗・文学座)
チャムリー夫人(岡のりこ・てあとる・エコー)
ガフニー判事(瀬戸口郁・文学座)
ジョンソン夫人(スー・アサミ・フリー)達を
巻き込んでの大騒動
・・・
最後の注射の場面は怖かったです
映画「カッコーの巣の上で」のようになるのかと思いました

救いはタクシー運転手(岡田吉弘)の言葉
この病院は
入院するときは穏やかなんだが
退院する時は冷酷な人に変身していると・・・・

演出の西川信廣さんがパンフレットに書かれていました
『ぼくらはハーヴェイを必要としている』
今私たちは
明治維新や戦後の復興期よろしく
「成長」という言葉に踊らさせられて
経済的豊かさ=幸せと思い込み
目先の豊かさだけを追い求めすぎているいるのではなかろうか
・・・・
メアリー・チエイスが気づいた70年前
それが人々の精神の破壊となって
今のアメリカや日本に起きている
まだまだ気づいている人は少ないのかもしれません
・・・
私には
あの注射を打たされた達がたくさんいるように思えるのです

初演が1944年
第二次世界大戦の末期です
訳者の常田さんはパンプレットに書かれています
「当時の日本がどんなふうだったか想像すると
こういう芝居がブロードウェイで上演され
ロングランしていたことに複雑な気持ちになりますが
当時の日本に比べれば格段に安全で豊かな暮らしをしていたとはいえ
アメリカの市民たちの中に
長く続く戦争をひととき忘れたいという気持ちがあったのかもしれません。
ですが
現実逃避のおとぎ話ではなく
人間の欲望や家族の愛情をユーモラスに描き
今の私たちにもいろいろなことを考えさせてくれる芝居だと思います

今の日本
なんだか逃げ出したくなりますが
もっともっと考えなっればならないのでしょうね・・・

またハーヴェイとは
アイルランドの民話などにでてくる
いたずら好きの妖精プーカだそうです
妖精というと小さなものを想像しますが
プーカはだいたい大きなものらしく
自分が選んだ人の前にだけ姿を現すそうです

逃げ出さないで現実をしっかり見つめていれば
やがて見えてくるのでしょうか

この芝居
ちょうどよい時期に見れたこと嬉しく思いました

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