『琉球の風 観劇記』 
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観劇記 あまご 
2016年11月26日 
 下北沢 東演パラータ
          作:中津留章仁 演出:松本祐子 劇団東演第148回公演

                   


中津留章仁さんの芝居初めてみる事ができました

今 日本で起きていることを直視した劇作家
2015年9月17日参議院特別委員会で安保法案が強行採決された
まさにその時
この強行採決に合わせたかのように
中津留さんの「そぞろの民」が
上演されていました
「そぞろの民」
暗闇の中、国会の特別委員会で
安保法制の法案が強行採決される
騒乱の音声が聞こえるテレビニュースから始まります
凄い予見とタイミング

そんな芝居があることを知ったのは
今年の5月の戯曲を読む会
そして6月には青年劇場が「雲ヲ掴ム」
劇団民芸の「箆棒」と
次々と中津留戯曲が
今の日本への怒りのように上演されました

関西にいるとなかなか見るチャンスがなく残念です
今回
やっとチャンスを掴むことが出来ました

さて
「琉球の風」

沖縄の基地で働く人、反対する人
立場の違う人たちを両面から描いた芝居です

大阪の機動隊の土人発言や
オスプレーの墜落など
沖縄の怒りは頂点に達しているのですが
今の政府の高官達は冷ややかです
魂はどこに・・・
11月に見た文化座の芝居「銀の滴降る降る」と
重ね合わせながら
72年前の沖縄と今の沖縄を
重ね合わせながら
見ました

さて
記憶が薄らぐ前に
芝居のあらすじを思い出しながら書いてみます
間違っているかもしれません

舞台は東京の旅行代理店
沖縄生まれの新城沙緒理(竃二紗子)が企画した沖縄ツアーについて
同僚の 片岡誠也(清川翔三)はどこかひかかるところがあるようだ
新城が前の旅行代理店でも同じようなツアーを計画していたこと
ツアーの中で自由行動があり
それは基地反対と絡んでいないか・・・等々
新城は反対する人もいれば賛成の人もおり無関心な人もいると
軽くあしらうのですが・・・
そこに新城の兄・新城芳郎(能登剛)が現われて
美味しいコーヒーやらお酒で
緊張した場は和らぎ
帰って来た上司の森川(豊泉由樹緒)のとりなしもありツアーは了承されます
その時
観光庁の秋本(岸並万里子)から沖縄ツアーについて聞きたいとの電話が
事務所にやって来た秋本によれば
高江でのヘリパット反対のための偽装ツアーだという電話があったと・・・
それは誰なのか
何が目的なのか

舞台は一転し沖縄のスナック
ママの新垣(腰越夏水)と 恵梨香(東さわ子)
「基地がなくなったら沖縄は寂れる」という 恵梨香
ママは時々基地反対の座り込みをしているという
微妙にすれ違う二人
スナックの片隅では
片岡が友人でジャーナリストの日比野頴吾(奥山浩)と
尖閣列島事などを激論しながら飲んでいます
片岡はツアーの下見に来たようです

そこに密告した男 ・知念昌夫(星野真広)が現われます
日比野が情報を得るために呼んでいたのです

事態は思わぬ展開に

基地反対闘争に挫折して東京に逃げていた男
島袋孝雄(佐々木梅治:劇団民藝)も登場
島袋は高校の野球部のコーチをしていて
その弟子たちが幾人か機動隊に入り敵同士になった
それが辛くて沖縄を逃げ出したと・・・
驚くことに
密告の電話をかけた知念は島袋の弟子で元機動隊員
島袋コーチと目を合わすのが辛くて
機動隊を止めてヘリパット基地の建設現場で働いているという
しかし
基地反対闘争のおかげで仕事が進まず
生活を守るためにツアーを妨害したのだと・・・・
泣きながら抱き合う二人

昔も今も自分たちの意志とは関係のないところで
敵対しなければならない悲劇
みすてられたかのような島
沖縄
自分たちの運命を自分たちで決めることが出来る日が来ることを
願わずにはいられません


東演の役者さん自分たちの劇場でのびのびと
そして
客演の佐々木梅治さんのあたたかな演技が心に沁みました


初めての東演パラータ劇場
120人ぐらいの理想的な劇場空間
下北沢の住宅街にありちょっと迷いました
また来ます!

 

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