『はたらくおとこ 観劇記』 
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観劇記 あまご 
2016年12月3日 
 
          作・演出:長塚圭史  阿佐ヶ谷スパイダース

                   
幻のリンゴを作り出す夢も破れ
朝から晩までまんじりともせず
今やもうすることもない閑散の事務所でストーブの小さな炎を囲み
北国の大雪を見つめる男たち。
雪はまるで借金のように降り積もってゆく・・・
もはや東京に帰る場所もない。
                     パンプレットより



長塚圭史 作・演出の芝居 楽しみににしていました
この芝居12年前の再演だそうです
12年前はどんな時代だったのかよく覚えていないのですけど
この芝居
凄くリアリティを感じましたね
畑澤聖悟作「飛べ原子力ロボむつ」に出てくる
ヤバッチモノ=核廃棄物
福島の原発のことなど
チラシにもあるように
人は「馬鹿な生き物」なのでしょうか

記憶に留めるために
あらすじをかいてみます
正確ではありません

トラックを運転する映像から始まります

リンゴ園の社長茅ヶ崎(中村まこと)は
奥さんを交通事故で無くし
奥さんが持っていたリンゴを病院で泣きながら食べた
その時の渋くてうまいリンゴの味が忘れられず
同じリンゴを作るため脱サラしてリンゴ園を始めたのでした
病院でその話を聞いた愛(伊達暁)は
兄の前田(中山祐一郎:めがねの男)に話すと
二人はリンゴ園で働くことに
愛はリンゴ園のトラック運転手
前田はリンゴの苗木を育てます
そして
従業員の夏目(池田成志)
アルバイトの佐藤(池田鉄洋)

リンゴ園の夢破れ始め皆うなだれている時
バイト佐藤の妹(北浦愛)が農薬を抱えて飛び込んできます
突然石が投げ込まれ
佐藤の兄(松村武)も農薬を抱えて逃げ込んできました
どうやら使用禁止の農薬のことがばれてJAとトラブルを起こしていたのでした
仲裁に入った茅ヶ崎はJA男(富岡晃一郎)をつれてきます。
その男は前田が大切に育ていたリンゴの苗木を踏みつけていたのです
その事を知った佐藤は怒りのあまりその男を刺してしまいます
我を忘れた佐藤は農薬を水と間違え飲んでしまいます
そこへ
前田の弟・愛(伊達暁)が運転するトラックが飛び込んできて
茅ヶ崎がはねられてしまいます

・・・・・・

農薬を飲んで眼から血が滴る佐藤
驚く兄
やがて茅ヶ崎も起き上がり
相談の上死んだJA男をトラックの荷台に押し込んで
トラックもろとも捨ててしまおう・・・
前田が捨てに行きますが
なかなか戻ってこない
捜しにいった愛が運んできたものは
ブルーシートに包まれたどろどろの前田
トラックには何が積まれていたのか
・・・・
すると
トラックの運転席からニット帽の男(長塚圭史)が出てきました
ニット帽は廃棄物の運搬で大金を稼いでいたのです
それを知った愛が男を泥酔させて
トラックを運転して来たようです
トラックの積み荷はヤバチッもの
早く扉を閉めないと・・・
どろどろになった前田が荷台の中に入り
中から扉を閉めて死んでしまいます
愛はニット帽をコンクリートブロックで叩きつけ殺してしまいます
佐藤も死んでしまいます

茅ヶ崎と農薬を持ち込んだ佐藤の兄は
自分たちでなんとかするといい
夏目や愛たちを逃します
そして二人はトラックからドラム缶を運びだし
運び終えた後
缶に入ったどろどろとしたものを食べ始めました
佐藤の兄は倒れてしまいます
人間たちが作り出した
やばっちもの

しばらくして
夏目が戻って来て
また二人で食べ始めます
すると
やばっち物の中からリンゴが
二人は嬉しそうにかぶりつきました

これが渋くて美味いリンゴ!

暗転
再び愛がトラックを運転する映像が映ります
エンディングの映像が流れ
これでお終いかな〜
と思っていたら

トラックが突っ込み茅ヶ崎は倒れます
元の場面に
農薬を吐き出して元気になった佐藤
前田も生きていました
呆然とする
夏目・愛
積み荷の中身は?

これは夢だったのか・・・
すこしホッとするような
どこまでが幻なのか
不思議な終幕
と思っていたら

やがてスポットライトがあたり
茅ヶ崎が立ち上がり
カーテンコールかな

思ったのですが
スポットライトの中で
夏目は告白します
茅ヶ崎の奥さんを引き殺してしまったのは自分だと・・・
それを聞いた茅ヶ崎は
「許す」 といいました

ここで本当の終幕になりました

不思議な舞台でした

世の中
今は小康状態で
何が起こるか分かりません
起きているのかもしれません
そんな夢のうつつにいるような芝居でした

 

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