『まちがった疾走 観劇記』 
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観劇記 あまご 
2016年12月21日 
 池袋シアターグリーン
          作・脚本 多良見 演出:嶋 隆静 オフィスSHIMA企画
          出演
            神山 寛 (劇団俳優座)
            金子幸枝 
            石井伸一 (劇団俳優座)
            望月香奈 (劇団民藝)
            酒井孝宏 (フリー)
            嶋 隆静 (劇団東京芸術座、劇団青芸を経てオフイスSIMA設立)
                   
あらすじ
二人の男が或る人物と出会う為に
街を見下ろす一本道を上がってきてその人物を待ち受ける。
だが、一向にその人物は現れない。
出会ったのは野生動物を捕獲するという男に
人里離れたそこには似つかわしくない若い女
息子(?)を追いかける初老の女
そして
怪しげな紳士だけ。
それでも二人には
今直ぐ解決をしたいことがあった。
その人物にさえ出会えさえすれば道は開ける
明日が見える筈と信じて疑わない。
「その人は来る?」「ああ、きっと来るさ」・・・
公演情報より



サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」のような
二人の男の会話から始まりました
ベケットのように理屈に合わない世界というより
今の世の中が少し
いやかなり狂っている
人間本来の姿は優しく繋がっているのだ
そんな希望を感じる芝居でした

待つ男1を演じた酒井義宏さんは
水質とか地質の研究員
あるとき水の流れの異変に気づき
上司に報告すると
閑職に追いやられさらには首になった
妻子持ちの善良な会社員

友人の男2石井伸一(俳優座)を頼り
二人はある人物を捜して山に登り始める
男2もまた事業が破綻し助けを求めてある人物を待っている
待てども待てども待ち人は現れない

水の流れの異変は核廃棄物を埋めるための地下トンネルの工事
人が住むことにより動植物の世界にも異変が
その人類にとってもグローバル化した経済の中で
貧富の格差が広がっている
世界ではわずか62人の富豪が
最貧層35億人分と同じだけの富を所有しているという。
働く人は貧しく
全てではありませんが
働かないけど大金持ちはいます。
世界一はビル・ゲイツ氏ですが
彼は様々の価値を生み出しましたから
とりあえずおいても
例えば世界2位のスリム氏は携帯電話を作っているわけではなく
国営電話セクターの民営化で巨万の富を得た人物です。
そんな要領のいい人は日本にもたくさんいます

人類が待ち望んでいるもの
それはなにか
さらなる進歩か?物欲か?
今年1年という短い時間の中でも起きた様々な出来事
考えさせられました

待ち続ける二人が
待つことではなく見つめること
死ぬのではなく家族の元に帰えり生きる事
今年最後の芝居に相応しい
仄々とした気持ちになりました

ありがとうございました。
 

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