『ラインの監視』 
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観劇記 あまご 
2017年10月7日 
 
          作:リリアン・ヘルマン 演出: 原田一樹 神戸演劇鑑賞会10月例会

                   

久々のリリアン・ヘルマンです
リリアン・ヘルマンの作品にはじめてであったのは
1980年 木村光一演出 有馬稲子・南風洋子さん達による
 「噂の二人」
終演後も涙が止まらい
そんな感動的な芝居でした
1985年の再演は神戸で見ました
また
1984年に神戸労演の1月例会として
「私は生きたい −ラインの監視−」が上演され
私にとっては今回の芝居は33年ぶり二度目です

ふたつの作品は第二次世界大戦の前
ナチスが台頭した頃
まだ平和な気分が漂うアメリカにおいて
刻々と迫る戦争前夜の危機を描いたものです
アメリカを戦争に参加させた切っ掛けは
日本の真珠湾攻撃でした
それ以来アメリカは朝鮮戦争・ベトナム戦争・イランイラク戦争と
狂暴化してしまいました
残念ですけど・・・
今の日本にもどこか危険を感じます

私がみたヘルマンのふたつの作品
「噂の二人」はアーサーミラーの「るつぼ」の世界とおなじく
「共謀罪」が成立した日本の行く末を暗示させます
そして
「ラインの監視」は
見過ごしている・気づかないでいる
刻々と迫る危機を感じるのです

新劇は古い芝居であっても
現代に通じるものがあります
それはある意味ではとても悲しいことですが
愚かな過ちを繰り返さないために新劇はあるのだともいえます

ところで
今回の舞台
セリフが聞き取り難い箇所も多々ありましたが
見応えのある芝居でした
自分自身と文化ホールの老化現象が重なり
聞き取り難さは
想像力でカバーしています(笑)
ロシアで言葉の判らない芝居をみた成果もあります
そんなわけで最近は
役者さん達の動きを注目して観ています

今回の芝居
役者さん達の動きがとてもよかった!
ミューラー一家の登場場面
懐かしのわが家に二十数年振りに帰ったファニーの動き
玄関先でじっと見つめる夫と子供達
家族四人の立ち姿が絵のようで美しく
舞台での動きも
一人一人が勝手に動くのではなく
立ち位置が微妙なバランスをとりながら変化して行く
豪華な舞台装置の中で
流れるように動く役者さん達に感心しました
戯曲をもう一度読んでみようと思います

 

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