『ポーランドの人形遣い』 
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観劇記 あまご 
2017年11月26日 
 
          作:ジル・セガル 演出:村田元史 劇団昴公演 Pit昴 
                   
1950年ベルリン郊外のアパート。
手製の人形を妻に見立て
他の人形達と共に屋根裏部屋に
ひとり閉じこもって生きる人形使いのフィンケルバウム。
彼はワルシャワの西方の街ウッヂで人形劇団を主宰していた。
第二次大戦がはじまり彼と新婚の妻は
大勢のユダヤ人と一緒に隔離されナチスの強制収容所に入れられた。
アパートの女管理人は彼を説得しようと色んな人を連れてくる。
ロシア兵 アメリカ兵 ユダヤ人医者などなど。
戦争は終わった
といくら説得されても彼は聞く耳をもたない。
いったい収容所でなにがあったのか?
ついに収容所で友人だったというユダヤ人がやってくる…。
 チラシから

出演 牛山茂、宮本充、中西陽介、一柳みる
上演時間1:45

人形劇であって人形劇でない芝居
俳優さんが人形と共演するという
実に不思議な芝居でした。
最初はとても戸惑いました。
人形使いのフィンケルバウム(中西陽介)が操る無垢の人形は
ナチの収容所で亡くなった新婚の妻の思い出なのです。
一緒に話をしたり食事をしたり
二人の関係がわかると
彼の人形に対する愛おしさがよくわかりました。
中西さんの人形の扱いは見事でした。
人形を操りながら人形のセリフも語るのですから・・・

座席数も60〜70席程度の小さな劇場での二人(?)の会話は
観客にとってもより親近感を感じることができます。
このようにナチスの残虐性を扱った芝居は
ヨーロッパではよく上演されているそうです。
日本でもチョコレートケーキの古川健さんの『旗を高く掲げよ』が
今年の夏
青年座が上演しましたが
日本人の加害者責任を問う芝居は少ないですね。
来年早々
民藝が木下順二の『審判』『夏・南方のローマンス』2作品を連続上演します。
なんとなく雲行きがあやしくなってきたこの頃
こうした芝居が取り上げられことはとても大切だと思います。

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