『管理人』 
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観劇記 あまご 
2017年12月26日 
西宮芸文 中ホール 

今年最後の観劇はハロルド・ピンターの「管理人」
毎年ロンドンで20本近く芝居をみるコタさんによると
今でもハロルド・ピンターは人気の作家だそうです
日本ではあまり上演される機会が少ないようですね
私は5年前に新国立で
亡くなった深津篤史演出による
「温室」を観ただけです
強烈な芝居でした
深津篤史&ハロルド・ピンターに出会えたのは
その年の大きな収穫でした



ハロルド・ピンター全集は古本屋さんで見つけました
「部屋」「バースデイ・パーテー」「料理昇降機」「管理人」
などが収録されています

舞台はロンドン西部にある家の一室
まるでゴミ屋敷
ベッドの傍に小物が雑然と置かれた棚があり
古新聞の山
台所の流し・ガスコンロ
コンロの上には仏像が置かれ
天井からはバケツがぶら下がっている
雨漏りがする部屋
この部屋に住む兄アストン(忍成修吾:右端)はガラクタを集めるの趣味
キッチリとした身なりで優しい性格
歩き方はどことなくたどたどしく
ロボトミー手術をうけたのかもしれません
大雨の日
偶然知り合ったデイヴィス(温水洋一)を
自分の家に来ないかと誘ったのです
彼は住み込みで働いていたレストランを首になつていたのです
とりあえず雨が止むまで
デイヴィスはアストンの好意でこの部屋に泊ることになります
雨が止んだら
シェパーズ・ブッシュの友達に新しい靴をもらいに行き
シッドカップに行って身分証明書をもらい
ウェンブリーで働くというのですが・・・
翌朝
アストンが外出したあと
この部屋の所有者である弟のミック(溝端淳平)が現われ
不審者扱いにされ追い出されようとします

うまく立ち回って
二人の兄弟それぞれから
管理人になることを勧められ
デヴィスの思い上がりが始まります

だれでもそうだと思うのですが
ひとつの部屋に他人同士が住むのは難しく
二人の間にはお互いが眠れない夜が続き
険悪な状態になります
当初はすがるような気持ちであったデイヴィスは
アストンが精神病院に入れられていたことを知り
弟ミックの支えがあると信じ
アストンへの態度は高慢になって行きます
人間の弱さと醜さを
人の心と態度の移ろいを
温水洋一さん見事に演じてくれました

楽しみにしていたハロルド・ピンターの芝居
余韻が漂うよき芝居でしたが
カーテンコールの奇声に
少し冷めましたけど・・
今年最後の芝居でした

 

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