『赤道の下のマクベス』 
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観劇記 あまご 
2018年4月5日 
西宮芸文中ホール 
作・演出:鄭義信
新国立劇場20周年記念公演



戦争が終わってから73年目の夏を迎えようとしている
地球のあちらこちらでは戦火が止まらないが
ともかく日本は73年間戦争をしないで暮らすことができた
米軍の基地があるため
朝鮮戦争やベトナム戦争に協力してきたと言えるけど
直接戦争に関わることはなかった
昨年11月文在寅大統領が
韓国のベトナム戦争派兵に関して
ベトナム国民に謝罪をしていたことが報じられた
もしも憲法9条がなかったら
日本もベトナムに参戦していたかもしれない
しかし
今の日本の動きをみていると
とても危険な方向に向かっているような気がする

昨日(4/14)には英米仏がシリアにミサイル105発を打ち込んだ
安倍首相は早速「シリア攻撃支持」の声明を出した
「戦争は儲かる」
これが財界や権力者たちの本音だと思う
しかし
私達も黙ってはいない
戦争とはどんなことなのか
今年も戦争について考える芝居が次々と上演されている
民藝が5月に上演した「神と人とのあいだ」 木下順二2部作の連続上演
第一部 審判
第2部 夏・南方のローマンス
第一部はA級戦犯を
第二部はBC級戦犯の裁判を通じて
戦争の本質を問いかけた現代にも通じる見応えのある芝居だった
「赤道の下のマクベス」も
「神と人とのあいだ」における
第三部ともいえるような繋がりを感じた
73年前の戦争は日本人だけでなく
隣国の朝鮮や台湾の人たちを
加害者として巻き込んだ戦争だったから・・・・
戦争とは誰の意志によって起されるのか
ここに戦争の本質が見えるような気がする

前置きが長くなってしまいましたが
ここに
パンフレットからあらすじを紹介します

1947年夏、シンガポール、チャンギ刑務所。
死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ
ぼろぼろになるまでシェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)
戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)
一度無罪で釈放されたにも関わらず
再び捕まり二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など
朝鮮人の元捕虜監視員と
元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。
BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし
時には看守からのリンチを受け
肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。
ただただ死刑執行を待つ日々......
そして、ついにその日が訪れた時......。


ほぼ無言の山形大尉は(浅野雅博:文学座)
部下の小西(木津誠之:文学座)から家族に手紙を書いてくれと頼まれ
手紙を読み上げる内に
舞台が暗転し
山形大尉にスポットがあたり
その手紙は山形大尉が家族にあてた手紙となる
ほとんど無表情で魂が感じられない軍の司令官であっても
魂があるのだ!
涙がでるようなシーンでした

芝居全体としてテンポもよく
木津さんや池内さん平田さんもコミカルな演技で
楽しめました
池内さん演ずる役者のマクベスが意味不明
芝居好きの兵隊もいたということでしょうか


 

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