『百年の秘密』 
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観劇記 あまご 
2018年4月11日
 
 
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
ナイロン100℃
下北沢 本田劇場


兵庫県立芸術文化センターのチラシから

ケラリーさん演出の芝居は三人姉妹などいくつか見ましたが
ナイロン100℃での芝居は始めてです
この芝居はナイロン100℃の創立25周年を記念しての再演
2012年に初演され大変好評だったそうです
来月3日・4日と西宮の芸文でも公演がありますが
一足先に下北沢の本多劇場で観てきました


この物語はベイカー家を中心とした100年の物語



おおきな楡の木にたたずむ二人
ベイカー家の長女ティルダ(犬山イヌコ)と親友のコナ(峯村リエ)
おおきな楡の木はむかしむかし
狼に狙われた幼いベーカー家の先代を救い上げたという
言い伝えがあり
楡の木を囲むように銀行家ウィリアム(廣川三憲)の館が建っています

オープニング
役者さん達がソファーやテーブルやさまざまな家具
ひまわりの花などをセットした後
ベイカー家のメイド・メアリー(長田奈麻)による楡の木の由来や
登場人物達の紹介が始まりました
見事だったのはプロジェクションマッピングによる登場人物の紹介
テェルダとコナが100年の時と扉をくぐりながら
映像として現れます
楡の葉も揺れます
みごとなオープニングでした

この芝居はテェルダとコナの12歳から亡くなった後およそ100年
子供や孫たちが生きた時代まで
時間があっという間に進んだかと思えば
12歳に戻ったり死後の世界が現われたり
行ったり来たり
一幕の最後には
テェルダとコナの曾孫(ニッキーとドリス)が現われて
秘密の手紙とエラーコインを
楡の木の根っこから掘り出します
二幕は
再度12歳のテェルダとコナ
そして時間はまた進みもまた戻り
再度
死後の世界
メアリーの解説がなければ展開が理解できません
メアリーはワイルダーの『わが町』に出てくる
舞台監督のような役割を兼ねています
『わが町』も死後の世界が出てきますね
そういえば
テェルダの兄さんエース(大倉孝二)は
アーサーミラーの『セールスマンの死』に登場するビフに似ています
ビフは高校時代フットボールの花形選手
片やエースはバスケットのスター選手
ともに推薦を受けて大学に進学する予定でしたが
親父の浮気現場をみて逃走
盗みもするし情けない人生をおくってしまいます
この芝居には様々な悲劇喜劇が詰まっていました
『100年の秘密』
それは何だったのでしょう
孫たちが見つけたもの
テェルダの夫ブラックウッド弁護士(山西惇)が残したもの
それは芝居を見てのお楽しみです
そういえばブラック弁護士
イプセンの『ヘッダ・ガブラー』のブラック判事ほど悪くはないけど
罪な男です
山西さんのいい味が出ていました
そしてコナと結ばれたエースの親友カレル(萩原聖人)
エースやブラックウッドの対極にあって
最後は悲しかったけど
それはそれで幸せだったのかもしれません
テェルダの母バオラ(松永玲子)
テェルダの同級生チャド(みのすけ)、リーザロッテ(村岡希美)
テェルダとブラックウッドの息子フリッツ(泉澤祐希)
コナとカレルの娘ポニー(伊東梨沙子)達
ナイロン100℃の役者さん達も息がピッタリあって
さすがに自分たちの劇団での芝居だと思いました



3時間半に渡る長い芝居でしたが
充実した時を過ごすことができました
本田劇場
こじんまりとしたいい劇場
観客もスタンディングすることなく
暖かい拍手でのカーテンコール
芝居を観終えた後の充実感に浸ることができました

詳しい内容や写真は
OKEPIおけぴ観劇!レポートにありましたので
下記のHPから入って見てください
私が説明するよりよく分かると思います

http://okepi.net/kangeki/1293


 

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