『お気に召すまま as you like it』 ナショナル・シアター・ライブ
Masao'sホーム  
観劇記 あまご 
2018年4月25日 
 
『ハムレット」に続き『お気に召すまま』のシアター.ライブ
神戸カブックで見て来ました
始めて舞台で見たのは
1978年2月大阪労演の例会
俳優座による男だけの芝居でした
シェイクスピアの時代は芝居は全て役者は男でした
この芝居の初演は1599年
日本史の年表を開いたら
秀吉が死んだ年でした
そういえば
江戸時代の歌舞伎も男だけでしたね
追放された公爵の娘ロザリンドは堀越大史
現公爵フレデリック(中野誠也)の娘シーリアは山本圭
とても愉快な楽しい芝居でした



それから10年後
1988年4月神戸労演の例会
おなじく俳優座の男優だけの芝居
ロザリンドは前回とおなじく堀越大史
シーリアは若尾哲平でした

大阪労演はなくなり
神戸労演は神戸演劇鑑賞会と名称変更し
シェイクスピアを関西で見れる機会は少なくなりました
シェイクスピア生誕450年の年2014年2月
東演の「ハムレット」が神戸演鑑の例会になりましたが
シエイクスピアの舞台は
2002年の「十二夜」以来12年ぶりです
およそシエイクスピアが例会になるのは10年毎
その年2014年
文学座は「シェイクスピア祭」と称して
沢山のシェイクスピア作品を上演しました
上演の翌年
57歳の若さで亡くなった高瀬久男さん演出による
『お気に召すまま』を
東京あうるすぽっと観ました
私にとっては三度目の『お気に召すまま』です
26年ぶりでした
高瀬さんはこの時のパンプレットに
「アーデンの森」について書かれています
この世界にはこことは違う別の世界があり
今流れている時間とは違う別の時間が流れていて
私達はそっちとこっちを言ったり来たりしているのに
そのことには全く気がつかないで
今いると思っているところだけが自分達の生きている世界だと
思い込んでいるのかもしれない
・・・・・
その昔
森がまだ森として存在していた頃
人は森の中では日常とは違う森の時間を生きていた
そこには人が作り出す社会の規範が及ばぬところ
脈打つ命が息づくところ
けれどいつしか森は消え失せ
それと共に森の時間も消えてしまった
        「アーデンの森」 高瀬久男


26年ぶりにこの芝居を観て
芝居には沢山のの伏線があり
芝居の流の筋を縦糸と呼ぶなら伏線は横糸
縦糸と横糸が折り重なって布のように芝居が出来ていると
亡くなった神戸の村上事務局長の言葉を思い出しました
『お気に召すまま』の芝居の流れの中心は
ロザリンドとシーリアですが
二人の従者ともいえる道化のタッチストーンが
人間の愚かなることを阿呆らしく突っ込みを入れてきます
そしてこの阿呆:タッチストーンに魅せられたのは貴族のジェークイズでした
タッチストーンとジェイクイズが伏線とも言える横糸です
あとに二人へのインタビューの映像があります

人間は全てこれ一つの舞台
人間は男女問わずすべてこれ役者にすぎぬ
それぞれの舞台に登場してはまた退場して行く
そしてそのあいだに一人一人がさまざまな役を演じる
小田島雄二=訳

ジェークイズの有名な台詞です
それまで芝居の筋だけにとらわれていた私が
芝居の伏線という横糸に魅せられた舞台でした
文学座の舞台は
大きな布が舞台に落ちて拡がったり
吊り上げられたり
シンプルにして華のある舞台でした
タッチストーンは清水明彦・ジエークイズは若松泰弘
ロザリンドは前東美菜子・シーリアは藤崎あかね
フレデリック前公爵は大滝寛
弟の現公爵は廣田高志
サー・ローランドボイスの息子たちは
長男オリバーは沢田冬樹・三男オーランドは采澤靖起

さて前置きが長くなりましたが

写真はAs You Like Itby William Shakespeareからの引用です

https://www.nationaltheatre.org.uk/shows/as-you-like-it



第二場 公爵の宮殿前の芝生

オーランドと公爵お抱えレスラーとの決闘の場面
舞台はまさに現代
宮殿ではなく近代的なオフィスです
試合が始まると
机に置かれたパソコンで仕事していた人々が立ち上がり
闘いを見物します
試合は見事オーランドが勝利を収めますが
オーランドが天敵の息子と分かり公爵に追放されます
試合を観ていたロザリンドはオーランドに一目ぼれ
オーランドもまたロザリンドに一目ぼれ

第三場 宮殿の一室
ロザリンドもまた公爵に追放の命令を受け
父である元公爵の住むアーデンの森に行くことを決心します
ロザリンドは男装して
ロザリンドを慕う公爵の娘シーリアは
みすぼらしい泥だらけの少女に変身し
道化のタッチストーンを伴い3人で旅立ちます

第四場 アーデンの森
舞台の転換に
あっ!と
驚きました


第四場 アーデンの森
舞台に置かれていた椅子や机がゆっくりと吊り上げられ
瞬く間にオフイスが森の如く変身します
よく見ると椅子には人が乗っています
ここからの物語は
御存知のとおり
4組?の恋の物語
あれやこれやの葛藤がありますが
最後は
めでたしめでたしで終わります
舞台の概要は
 National Theatre Liveから引用したyoutubeをみてください

https://youtu.be/7qk_-OsuqgE


アーデンの森での出来事や語らいは
故高瀬久男さんが言うように
人は森の中では日常とは違う森の時間を生きていた
そこには人が作り出す社会の規範が及ばぬところ

なのかもしれません

ナショナル・シアター・プロダクション・ディレクターの
Polly Findlayによるインタービューです
道化タッチストーンを演じた役者 Mark Bentonさんと
タッチストーンに憧れるジェークイズ Paul Chahidiさん
二人の愉快な会話
そして
ロザリンド Rosalie Craigさんと
シーリア Pitsy Ferraさんの
二人の楽しい会話です

https://youtu.be/AbFUyBEUNgg

ロンドンまで行かなくても楽しめましたが
やっぱり本場の舞台も観てみたいですね
次回は
ハムレットにちょっだけ出てくる悲劇の二人
トム・ストッパード作
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」です
3年前に文学座の浅野雅博&石橋徹郎で見ました
この芝居も楽しみです

今回神戸かぶっくで観た
ナショナル・シアター・ライブの二つの作品
昔に観た芝居を思い出しながら
個人的には勉強になりました
シェイクスピアをどう描くか
作る側も見る側も
ともに今の時代に生きる人間ですから・・
5年もしくは10年先にもう一度観たらどう思うか
楽しみです
 

ページTOP

Masao'sホーム 観劇記