『首のないカマキリ』 
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観劇記 あまご 
2018年5月20日 
 
脚本:横山拓也(iaku) 演出:眞鍋卓嗣 俳優座公演NO.336
東京観劇旅行の最終日は
『首のないカマキリ』
俳優座稽古場公演です



観劇旅行のメンバーの内二人は
俳優座の稽古場公演は初めて
緊張感に溢れとてもよかったそうです

作者の横山拓也(ikaku)さんは関西の劇作家
恥ずかしながら知りませんでした
亡くなった深津篤史さんの桃園会
MONO
劇団新感線も関西発
関西の演劇人も頑張っています
それにしても
知らないことが多すぎます



写真は稽古場のスナップです(パンプレットより)
実際の舞台は下手と奥は樹木の多い茂った外の世界
中央は長いテーブルが置かれ森坂家の居間でした
上手にも部屋があります

舞台の始まりは外の場から
森坂家の主婦・美幸(清水直子)と叔父の安西史(伊東達弘)
若い頃から自由に生き今も一人暮らしの叔父は
死後の献体の保証人になってくれと
美幸に頼みます
20年ぶりの再会での頼みごとでした
自由奔放に生きてきた叔父の優しい顔が
ライトに照らされそして消えて行きます
小さな空間を使った眞鍋演出の巧みさが感じられます

そして
森坂家の居間
結婚を間近に控えた長女・理絵(呆亜美)は
結婚式の衣装を決めるため
婚約者の島野圭司(小泉将臣)が迎えに来ているのに
部屋から出て来ません
結婚を止めるとまで・・・
幼馴染のミハナちゃんが白血病で亡くなったことに
ショックを受けていたのでした
恋人も母も
台湾に近々単身赴任することになった父(塩山誠司)も
ただおろおろするばかり
祖母の明子(岩崎加根子)は意外とクール
高校生の妹・奈緒(後藤佑里奈)は冷ややか
クールといえば・・・
理絵と奈緒は小学生の頃の夏休み
カマキリの交尾を見たという
メスに食べられ頭部を失いながらも
オスのカマキリが交尾を続けている珍しい瞬間
そういえば
何年か前だったが
今日芝居を見に来ている我々4人も
山歩きの途中でそんな場面に遭遇したことがあります
私は恐ろしくて直視できなかったが
理系女の二人はじっと見ていました
・・・
今日の芝居は
冒頭にあったように「ドナー・献体」に絡んで展開
カマキリのオスもまた献体なのか

芝居の流れは
奈緒が学校でドナーの呼びかけ文を配ったことから
急転します
一部の生徒と親たちに動揺があり
奈緒の担任・桑原(齋藤隆介)が事件を収めるために
始末書を書いてくれとやって来ます
何も悪いことをしていないと突っ張る奈緒
自分の意見をしっかり持った奈緒に共感する一方
その奈緒の気持をしっかり受け止めた桑原にも好感がもてました
一方的に追い込んで行く今の社会
立ち止まろうとしない人達
自分の意志を貫くことは大切なことだけど
大切なことを壊してしまうこともあります
自分との葛藤があってこそ
先があるのかもしれません

最後の場面でミハナの母(安藤瞳)が
ミハナの命の結晶を見せてくれます

今生きている人々へ伝えたい思い
伝わることの嬉しさが温かく感じられる芝居でした

終演後
眞鍋さんにばったり
この後
『象』の芝居を持ってルーマニヤからロシアに行かれるそうです
ホメンコ劇場のことなど・・・
ほんのひと時の会話でしたけど・・・
久々にお会いできてよかった
ロシアにもつれていって欲しかったなあと
思いました


 

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