『マンザナ、わが町』 
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観劇記 あまご 
2018年11月1日 
 
作:井上ひさし 演出:鵜山仁 こまつ座NO97
神戸演劇鑑賞会11月例会 神戸文化ホール




運営サークルの皆さん
チラシ作り・搬入・搬出そして新会員への呼びかけ等
一生懸命でした
私もそれなりに働きましたが
主に搬入・搬出と力仕事
井上ひさしさんの故郷を訪ねる旅行など
どちらかといえば自由に
我儘させていただきました
とても楽しかった3ヶ月でした

この芝居の初演の頃に戯曲を読んだのですが
すっかり忘れていました
それだけに新鮮で芝居の展開を
楽しむことができました

ストーリー
一九四二年三月
カリフォルニア州マンザナ強制収容所。
そこには
収容所所長から「マンザナが決して強制収容所ではなく
集まった日系人たちの自治によって運営される一つの町なのだ」
という内容の朗読劇『マンザナ、わが町』の上演を命じられた
五人の日系人女性がいた。
ジャーナリスト、浪曲師、手品師、歌手、映画女優という
出自も経歴もバラバラな彼女らは時に笑い、悩み、ぶつかり、
時にともに歌いながらも稽古を重ねていく。
一つの‶色"に染められないように...たくさんの‶色"があるからこそ美しい。
ひとりの‶人間"としての誇りを持とうとする五人が下した決断とは。




写真はステージナタリーより
出演
 熊谷真実 土居裕子 
伊勢佳世 吉沢梨絵 北川理恵 


歌と動き
五人の女優さん達のアンサンブルが見事でした
アメリカの日本人1世・2世達の収容所を舞台にした芝居ですが
暗い収容所での暮らしを明るく
置かれた難しい立場を分かりやすく
いがみ合いを助け合いに
まさに井上ひさし流の芝居です


この芝居の初演は1993年7月
1991から始まったバブル崩壊は
失われた20年と呼ばれる低成長期に突入します
2年後は阪神大震災
私自身は仕事に追われ芝居とはほぼ無縁な
空白の10年でしたが
仕事に仲間
まだ希望がありました
経済活動とは無縁だったせいもあります
翌年には「父と暮せば」(1994年)上演
ひさしさんもまた
輝いた時代のように思います


初演から25年経った今
アメリカをはじめ
世界中で移民の排斥運動が起こり
日本では外国人研修生のこと
元徴用工への損害賠償の問題
この芝居のテーマが現代を
まさに今を
問いかけられているようです
終幕
ゆっくりと暗くなってゆく舞台に
「四六年後、名誉はすべて回復された」
「一九九八年、強制収容された人たちはレーガン大統領の公式謝罪文と
一人2万㌦の補償金を受け取った。」
「しかし、その四十六年間に、五万人以上のひとがすでに亡くなっていた。」

(幕)

地球は誰のものでもない

人が人の暮らしを奪うことは許せない
自由な大地のもとに人々の暮らしがあり
人は誰にも束縛されず自由に移動し暮す権利がある
自由な報道と自由な経済活動が
人々の行動の意志を左右する

そんな想いを強く抱きました
 

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