『ジュリアス・シーザー』 National Theatre Live 
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観劇記 あまご 
2019年2月15日 
 
作:シエイクスピア
演出:ニコラス・ハイトナー 
上演劇場:ブリッジ・シアター(ロンドン)
KAVC(神戸新開地)


出演 左から ジュリアス・シーザー:デヴィッド・カルダー
アントニー:デヴィッド・モリッシー
ブルータス:ベン・ウィショー
キャシアス:ミシェル・フェアリー

 今年2本目のナショナルシアターライブ
「ヤング・マルクス」に続いて本公演もブリッジ・シアターです
いきなり?


ロックンロールのライブショーが始まりました
舞台の周りに観客が立ちながらロックに酔いしれています
舞台を囲むのは大勢の若者達
ミュージシャン達の歌もうまいし
演奏もうまい
特にボーカル(Abraham Popoola )の打楽器演奏も素晴らしかった
彼等はプロのミュージシャンと思っていたら
なんと役者さんでした
左端はブルータスの召使クローディアスを演じたZachary Hart
ボーカルのAbraham Popoola はトレポニアス
中央のドラムはブルータスの下僕ルーシアスと詩人シナを演じたFred Fergus
右端はオクテビアスを演じたKit Young
間違っているかもしれませんけど・・・

舞台の回りには群衆(観客)が取り巻いています
古いヨーロッパの舞台は中央に土間席があります
普段は椅子が並べられていますが
元々は立見席だったそうです
シラノ・ド・ベルジュラックに出てくるヴゥルゴーニュ座芝居の場面では
平土間(即ち劇場の舞台)には椅子が無いと書かれています
つまり
舞台と観客席が一体となっていた
と云うことですね
モスクワのマールイ劇場の土間席には椅子がありました
ロンドンのグローブ座ではいまでも立見席で上演しているようです
こんな感じで
空が見えます
早稲田の演劇博物館には模型がありました


グローブ座の舞台

グローブ座の舞台は三方を囲むスリーサイド形式の舞台ですが
ブリッジシアターは舞台の四方を囲むアリーナ形式で
最先端の装置


ステージが奈落からせり上り
マーク・アントニーとマーカス・ブルータスが登場


ブルータスとキャシアスの目論見の場面


ジュリアス・シーザーとキャシアス対決の場面
この後
シーザーはキャシアスの銃に撃たれ
剣ではありません
最後にブルタスに撃たれるという
超有名な場面です


ブルータスの演説のあと
アントニー逆転演説
シーザーの遺言によると
ローマ市民に対し贈りものがあるという
民衆は大喜び!

素晴らしい舞台転換でした
舞台は奈落から次々とせり上がり移動して行きます
最後の戦闘シーンでは様々な大道具小道具が運び込まれ
観客は逃げ回るのに大変です
もちろん
立見の観客席は安いそうです
芝居の始まる頃はビールを飲んでいる客もいましたが
最後は大変です
1時間半も立ちっぱなしもしんどいですが
一度はこんな経験もしてみたいと思います

さて芝居ですが
写真でもお分かりのように
現代仕立てです
違和感は感じませんでした
むしろ
今の世界と重なり
アメリカの大統領や権力にしがみ付く人達ちを思いおこします
悲しいことに民衆は時の権力に踊らされ
操られてしまいます
先日の新聞にこんなことが書いてありました
民衆は選挙期間中は主人公となるが
選挙が終われば奴隷となる

奴隷とまでゆかなくとも操られてしまいます

ずいぶん前に見た芝居なので
こんな芝居だったのかと
ちょっと意外な感じも抱きました

STORY
ボンベイとの戦いに勝利したローマの将軍シーザが凱旋
市民は歓喜して彼を迎えます
その時
シーザーは占い師から「3月15日に用心するように」と
忠告を受けるのですが
「たわごと」だと一蹴します
シーザーは熱狂する市民の前で
アントニーから三度王冠を捧げられるものの
そのたびに辞退
しかし
キャスカによると
「受け取りたくてたまらなそうだった」
という
かってシーザにコケにされたことのあるキャシアスは
シーザを暗殺しようと企む
キャシアスはかって溺れそうになったシーザーを助けたことがあり
実は彼が臆病者であり
権力を握ると恐怖に煽られ暴君と化することを見抜いていた
ブルータスも親友であるシーザーが過大な権力を握ることは
好ましくないと思っていた

この辺りの状況が以前はよく理解できていなかったようで
ブルータスは悪のキャシアスに騙されたと理解していました
しかし
芝居のキャシアスはブルータスの親友で
なかなか良さそうな人物に思えました
再度戯曲を拾い読みしてみると
そんな感じもします
そして
キャシアスが女性とは意外な配役です
彼女の心理的表現が素晴らしく
魅力的でした
その他
キャスカやブルータスの奥さんが黒人であったり
シーザーの奥さんが東洋人であったり
多様な役者達が演じることができるのも
ロンドン芝居の魅力かもしれません

パンプレットに人間関係図があったので
役者さん達の顔写真をいれてみました
間違っているかもしれませんけど・・・



 
ジュリアス・シーザー
カルパニア(シーザーの妻)
マーカス・ブルータス
ポーシャ(ブルータスの妻)
マーク・アント二―
キャシアス
レピダス/占い師
キャスカ
メテラス・シンバー
テイシアス・ブルータス
マテラス/アーテミドーラス
ルーシアス/詩人シナ/バンド
ファイロ―/バンド
トレボニアス/バンド
オクテヴィアス/バンド
デヴィッド・カルダー
ウエンディ・クウェ
ベン・ウィショー
リアフィア・ダルコ
デヴィッド・モリシー
ミッシェル・フェアリー
マーク・ベンフォールド
アジョア・アンドウ
ハンナ・ストークリー
レイラ・ファルザッド
ロジ―イード
フレッド・フォーガス
ザッカリー・ハート
エイブラハム・ポプーラ
キット・ヤング

yotubeもありました
https://youtu.be/micAGOYfmJs


舞台も素晴らしく
役者もうまい
観客も舞台と一体となって楽しめる
14世紀が現代に蘇る
舞台写真はブリッジシアターより

https://bridgetheatre.co.uk/whats-on/julius-caesar/


今年もナショナルシアターライブ続きます

1.『マクベス』2019/2/15(金)〜2/21(木)
2.『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』2019/3/1(金)〜3/7(木)
3.『リア王』2019/4/19(金)〜4/25(木)
4.『英国万歳!』2019/5/31(金)〜6/6(木)
5.『アントニーとクレオパトラ』2019/6/21(金)〜6/27(木)
6.『アレルヤ!』2019/7/12(金)〜7/18(木)
7.『リチャード二世』2019/9/6(金)〜9/12(木)
8.『みんな我が子』2019/10/4(金)〜10/10(木)
9.『(作品タイトルは後日発表)』2019/11/8(金)〜11/14(木)
1,3,5,7はシェイクスピア(4本)、2,8はアメリカ現代演劇、4,6は英国現代演劇
今年も楽しみです

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