『炎の人 ゴッホ小伝』 
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観劇記 あまご 
2019年4月11日 
 
作:三好十郎 演出:眞山直則
ピッコロシアター中ホール
出演:吉村祐樹(ゴッホ)
中川義文・風太郎・堀江勇気・車 貴玲・有川理沙・今仲ひろし
田渕詩乃・三坂賢二郎・今井佐知子・菅原ゆうき・金田萌果
原 竹志


 ゴッホが宣教師として働いていた炭坑町では
劣悪な労働環境に耐えかねた抗夫たちがストライキを起こしていた。
爆発事故で生き埋めになった遺体の発掘を
彼らに成り代わってゴッホは会社に掛け合うが、その望みはかなわない。
誰も救うことができず、宣教師職も解かれたゴッホの元へ
今回の事故で命を失った息子のために祈ってほしいと
耳の聞こえない老婆がやってくる。
生涯、貧しい者の為に絵を描き続けたゴッホが
飢えと孤独と苦痛の果てに辿り着いた境地とは…
チラシから

「炎の人 ゴッホ小伝」 今回で三回目ですが新鮮でした
初めて観たのは1977年
そして1990年
いずれも滝沢修さんのゴッホです

三好十郎作品は本当に見応えがあります
魂が込み上げてくるようです
序幕の炭鉱ストライキの場面はいつみても強烈で
三好十郎が描くゴッホの源があるように思います
三好十郎の思いと重なるのでしょう
生涯を通じて一つの作品も売れなかつたゴッホの絵
貧しさのどん底にあったゴッホと
炭鉱で働く労働者の姿が重なります
そしてゴッホを愛した女性たち
純粋でうぶなゴッホですが
彼女たちがゴッホに命を与えたのだと思いました
そして
神に挫折し
芸術の世界に救いを求めたゴッホに夢を与えたのは
印象派の画家たちが活躍するパリでした
絵具屋タンギー(風太郎)の店
ロートレック(堀江勇気)やベルト(今井佐知子)
そしてゴーギャン(原竹志)
序幕とうって変り華やかな場面でした
芸術
生きることの意味

今回の舞台ではこの場面が一番心が弾みました


ゴッホが初めて愛し女性かもしれないモデルのシィヌ(田淵詩乃)
ゴッホの従兄モーブ(三坂健次郎)に侮辱され
荒れ狂うシィヌも魅力的でした
ゴッホを経済的に支えるテオ(菅原ゆうき)
不思議な存在でしたけど
兄と同様に純な姿が印象的でした
ピッコロ劇団の役者さん達は呼吸がピッタリで
感心しました
次作も楽しみです

個人的には
10月の宮本研作「ブルーストッキングの女たち」
ピッコロ初演出となる文学座の稲葉賀恵
期待しています



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