『マクベス』 
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観劇記 あまご 
2019年4月14日 
KAVC 
上演劇場:英国ナショナル・シアター オリヴィエ劇場(ロンドン)
収録日:2018/5/10 尺:2時間40分(休憩あり)
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:ルーファス・ノリス
収録日:2018/5/10 尺:2時間40分(休憩あり)


シェイクスピアの四大悲劇の一つ。
魔女たちの予言に野心を掻き立てられた武将マクベスは主君を暗殺し、
王位を簒奪するが……。
今回のマクベスは『ヤング・マルクス』で
マルクスを演じたローリー・キニアです
マクベス夫人はアン-マリー・ダフ

『マクベス』をはじめて見たのが1979年2月
劇団俳優座の創立35周年記念で上演された作品です
マクベスは加藤剛さん
マクベス夫人は河内桃子さん
バンクフォーは小笠原良知さん
舞台転換のキーマンともいえる門番は荘司肇さんでした
もうずいぶん昔ですからほとんど覚えていませんが
マクベス夫人がなんどもなんども手を洗う場面は印象的でした

二度目は1982年10月の仲代プロジェクトによる舞台
もちろんマクベスは仲代達也さん
マクベス夫人が神崎愛さん
山本圭さんがマルカム王子でした

最近の舞台は2016年6月
野村萬斎さんによるマクベス
マクベス夫人が鈴木砂羽さん
高田恵篤さん達魔女3人と
総勢5名の役者によるシンプルな舞台でした
http://shousam.fc2web.com/sibai-20160629maku.html



NTLの舞台には今度も驚きました
中央に大きな橋のような舞台があって回転します
マクベスの居城は掘立小屋のような一室で
ステール製の椅子や衣類などが無造作に置かれており
まるで洪水の跡のようです
暗殺者に報酬として渡すのも缶コーヒみたいな飲物
原作では戦火のスコットランドが舞台ですが
現代に置き換えているようでもあり
そうでもないような
混沌とした世界での王位簒奪の物語
この舞台は何を意味するのか
などと
考える暇もなく舞台は転回して行きます



ただ
血塗られた悪魔の世界から
現実の世界へと引き戻す門を叩く場面
ちょっと物足りない感じがしました
英語だったから
よく分かりませんでした

シェイクスピアの芝居には本筋と副筋があって
副筋には庶民の気持が代弁されます
ハムレット墓堀のように・・・

門番
えらく叩くじゃないか!
これが地獄の門番なら
しょっちゅう鍵をがちゃりがちゃりで
年中暇なし
とん、とん、とん、かー
やい、誰だ?
こちとら、地獄の大将ビェルジバブが身方だぞ
うん、手前は
豊作で作物の値下りを苦にして首くくった百姓だな
よく来た、お天気のたいこもち
手ぬぐいうんとこさ用意しな
ここは地獄だ
しこたま汗をかかせてやるぞ
・・・・・

こんな台詞が続きます(福田恒存訳)

そして
魔女の予言どおり
八人の不気味な仮面をつけた亡霊が橋を渡るシーンは強烈でした
亡霊たちはマクベスに殺されたバンクフォーの子孫たち
生き延びたバンクフォーの子供が
同じく生き延びたダンカン王の息子の子孫と結ばれ
王位を継承するのです
行列の最後にバックフォ-の亡霊も続きます

Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,
Creeps in this petty pace from day to day,
To the last syllable of recorded time;
And all our yesterdays have lighted fools
The way to dusty death. Out, out, brief candle!
Life's but a walking shadow, a poor player,
That struts and frets his hour upon the stage,
And then is heard no more. It is a tale
Told by an idiot, full of sound and fury,
Signifying nothing.

あすが来、あすが去り
そうして一日一日と小きざみに
時の階を滑り落ちて行く
この世の終わりに辿り著くまで。
いつも、きのうという日が
愚か者の塵にまみれて死ぬ道筋を照してきたのだ。
消えろ、消えろ、つかの間の燈火!
人の生涯は動きまはる影にすぎぬ。
あわれな役者だ
ほんの自分の出場のときだけ
舞台の上で、みえを切つたり
喚いたり、そしてとどのつまりは消えてなくなる。
白痴のおしゃべり同然、がやがやわやわや
すさまじいばかり、何のとりとめもありわせぬ。

福田恒存 訳

マクベスは何度みてもおもしろい
16世紀の作品を上演する場合
原作に忠実であっても見応えがあるけど
ロシアの演出家メイエルホリドが言うように
否定の否定
それも古典を再現する
現代演劇の表現方法だと思いました
メイエルホリドの孫弟子にあたる
故ベラコービッチ氏の「マクベス」が再び東演で上演されるそうです
これもまた楽しみです

最近の観劇記は観劇記というより
自分のための備忘録みたいなものです

今回の劇場はロンドンのシアター オリヴィエ劇場
yutube見たら雰囲気がよくわかるとおもいます

https://www.youtube.com/watch?v=W7K4yGYKuxI

写真は「映画・COM」より


 

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