『英国万歳』 
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観劇記 あまご 
2019年6月16日 
 
作:アラン・ベネット 
ノッテインガム・プレイハウス
National Theatre Libe
Kavc


今年5本目のNTLの芝居
ロンドン芝居の魅力にすっかりはまってしまいました
役者も上手いし
演出も斬新
劇場も最高です
ノッテインガム・プレイハウスは
イングランドの中部にある人口27万程の都市
客席数770のプロセニアム形式の劇場です
1948年に完成したこの劇場は
2004年に改修され
築後71年になりました
神戸文化ホールも築後40数年経ちましたが
改修すればまだまだ使えると思います



ストーリーは1788年の英国
アメリカ独立戦争に敗れ植民地を失い
英国国王ジョージ3世は議会から無能扱いされていたが
民衆からは”農夫ジョージ”と慕われていました
ある夜
突然の激しい腹痛が始まり
王の言動に異常が見られるようなり
そんな王の異変に乗じて
皇太子等が議会の反勢力と結託し
権力を奪い取ろうとします
ある意味ではドタバタ喜劇のようですが
権力争いの滑稽さが透けて見える
辛辣な芝居でした

1788年
日本は江戸時代の中後半
東北地方を中心とした天明の大飢饉などで一揆や打ちこわしが続発し
田沼意次の失脚
松平定信等による寛政の改革が始まった頃です
フランスでは1789年にバスティーユが襲撃され
フランス革命が始まりました
民衆たちが立ち上がった
激動の時代でした

当時の英国は王の署名が必要ですけど
議会によって国の重要事項が決まっていたのが
驚きでした
議会制民主主義があったのです
13世紀半ばに議会(下院の起源)があったそうです
そしてイギリスでは17世紀の半ば
ピュリタン革命が起こり
1649〜1660年の短い期間でしたけど
共和政でした

舞台に登場するホィツグ、トーリーの2大政党は
ジョージ三世統治から100年前にさかのぼり
1675年に創立されていたそうです

歴史音痴の私にとって
この芝居『英国万歳』はヨーロッパの歴史を知る上でも
勉強になりました
そして
『英国万歳』
何が万歳なのか?
問いかける時
今の政治を見つめる複雑な思いが重なります

歴史は少しづつ進歩しているのでしょうけど
何が良くなり
何が悪くなり
変わらないものは何なのか
考え始めると疲れます
でも
芝居のあとに感じる
小さな喜びが元気を与えてくれます
見応えのある芝居でした

 

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