『化粧二題』 
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観劇記 あまご 
2019年6月19日 
西宮芸文 
作:井上 ひさし 演出:鵜山 仁
出演:内野 聖陽 有森 也実


『化粧二題』
2000年の初演(こまつ座第60回公演)以来
初めての再演です
『化粧』は二度見ましたが
『化粧二題』はなかなか再演されることなく
20年近く経ってしまいました

扇田昭彦氏の解説によると
大衆演劇の女座長を描く井上ひさしの一人芝居の名作『化粧』に
幼い頃に母に捨てられた過去を持つ
大衆演劇の男の座長を描く一人芝居を後編として書き加え
一人芝居の二本立て構成としたのが
この『化粧二題』である。


では元々の『化粧一幕』は
同じく扇田昭彦氏の『化粧』資料(集英社)によると

戯曲『化粧』は昭和57年(1982年)7月
演劇企画集団「地人会」によって企画上演された
『母たち』(六作家・六女優による母をテーマとする一幕劇)の
一つとして書かれた
のちに作者はこの一幕劇に第二幕を書き加え
新たな一人芝居として完成させた
ここでは当初の一幕劇を『化粧 一幕』と呼び
後に第二幕を加え本書に収録した形の戯曲を
『化粧 第二幕』と呼ぶ


『母たち』(六作家・六女優による母をテーマとする一幕劇) 
『四つの肖像』 大塚道子
『乳病み』 神保共子
『花いちもんめ』 荻尾みどり
『母(オモニ)』 李礼仙
『還りなん いざ』 藤田弓子
『化粧』 渡辺美佐子
作:ウエスカー 演出:広渡常敏
作:水上勉 演出:栗山民也
作:宮本研 演出:早野寿朗
作:呉泰錫 演出:鈴木完一郎
作:岡部耕太 演出:石沢秀二
作:井上ひさし 演出:木村光一

化粧第二幕は初演と同じ年(1982年)12月に書き加えられ
二幕劇となったことで
当初とは全く違う展開となった
つまり
二幕ではどんでん返しが起こり
この劇は実は解体寸前の芝居小屋で
精神を病んだ元座長が孤独に演じる
狂気の一人芝居であることが明らかになる
このどんでん返しには驚きました
これこそ井上ひさし芝居と思いましたが
本人は悩んだそうです
「貴様は、女座長の自己発見の瞬間を書こうとしたのではなかったか
二幕劇にするために
女座長を狂女にした途端
自己発見という主題は消えてしまったのではないか」

この疑問に基づいて再度改作したのが
本日の芝居 『化粧二題』
その一では改定以前の初演に近く
その二では「捨てられた子の立場から」
二つ目の自己発見劇
まさに
井上ひさしさん自身を描いた芝居でした

ひさしさんが亡くなってから
早いもので
来年4月には10年になります
そして
こまつ座が毎年関西でも上演して頂けるので
井上ひさしファンとしては
とても嬉しく思います
次回も楽しみです

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