『ガラスの動物園』 
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観劇記 あまご 
2019年7月24日 
 

尼崎ピッコロシアターでも上演されたのですが
私たち七人の芝居仲間は
可児市文化創造センター(ala)の見学を兼ねて
観劇してきました
alaの主劇場(宇宙のホール)は座先数1019
小劇場(虹のホール)は311席



神戸にもこのような大小のホール
出来れば800席程度の中ホールと
400席程度の小ホールが併設されればいいですね
小ホールは学生演劇や地元劇団の舞台としても使えます
舞台装置を作るたたき場や
ロフトと呼ばれるリハーサル室が沢山あって
市民が自由に参加できる創造活動の場がありました

ところで
『ガラスの動物園』



アマンダは塩田朋子さん
1990年の舞台ではローラの役でした
ローラは永宝千晶(ながとみちあき)さん
トムは亀田佳明さん
ジムは池田倫太郎さんです
因みに1990年の舞台は
アマンダ:松下砂稚子
トム:外山誠二
ジム:清水明彦
皆さんも私も若かった・・・・

今回の舞台は文学座アトリエの会以来29年ぶりの上演
小田島恒志の新訳・高橋正徳の新演出
登場人物たちが現代的
身近に感じられる舞台でした

父親が家を出て以来
母子家庭として暮らしてきたウィングフィールド家の物語。
かつては上流社会にいたという記憶から逃れられない母アマンダ。
不自由な足を気にして現実から引きこもり
ガラス細工の動物たちにだけ心を許す姉ローラ。
現実と乖離した母と姉を捨て去れず
一家を支えるためこの町で働くトム。
そんな出口の見えない生活がジムという青年の来訪により変化していく。
それはこの家族にとって希望の光に見えた。
しかしガラス細工の動物たちが永遠の存在でないことを証明する光でもあった。
トムが奏でる追憶の調べが
二度とは戻れない過去へと導いてゆく

文学座のHPから

舞台正面には父親のぼやっとした肖像画があり
トムのプロローグが終わると
肖像画が舞台の天井に
父親と同じく母と妹を残して出て行ったトムと重と重なります
かっての
アメリカも日本も
頑張ればお金と栄光を手にすることができる
そんな夢が描けた時代がありました
舞台は1930年代のアメリカ
経済不況の嵐が吹き荒れ迫りくる戦争の足音・・・
どこか日本の近未来を表すような舞台です
希望が見えない
残されたローラどうなるのだろう
とても不安な気持ちになります
テネシーウィリアムズの芝居は辛いです
そして
ガラスの動物のように繊細で壊れやすく
とても愛おしく感じられます
ローラだけでなく
あの一見逞しそうなアマンダもまた
・・・・
光が見えにくい世の中だから
蝋燭の灯が必要なのでしょうね

素晴らしい舞台でした

 

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