『廓三番叟』 
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観劇記 あまご 
2019年10月4日 
歌舞伎座 


左より中村梅枝、中村扇雀、坂東巳之助
(新造)  (傾城)  (太鼓持ち)

歌舞伎座での幕見席
11:00開演11:21終演と
僅か20分の短い舞台です

三番叟はこれまで「操り三番叟」「舌だし三番叟」を見ましたから
三作目となります
三番叟についてはイヤホンガイドに解説がありました
廓三番叟(酒井孝子)イヤホンガイドより
 能には古くから「翁三番叟」という二つの部分から成る祝儀曲があります。「翁」は天下泰平、国土安穏を、「三番叟」は五穀豊穣、子孫繁栄を祈るという儀式性の強い曲です。後に歌舞伎舞踊にとりいれられるようになると、庶民は厳粛な「翁」よりも狂言方が演じる明るく、動きの多い「三番叟」を好んだため、「三番叟」を主体とした数多くの舞踊が作られましたが、時代が下ると共に儀式的要素は薄れ、趣向を凝らすことに重点が置かれるようになりました。「廓三番叟」もその一つ。廓という字が示す通り遊郭の座敷で、太夫、振袖新造、幇間が踊る趣向です。
 新造さんとは旦那のことかな?と思っていたら
そうではなくて
見習いの遊女のことだそうです
13〜14歳になると新造とし,振袖新造
さらにやや年をとると袖を留めて留袖新造となるそうです

この舞台は吉原の遊郭が舞台です
会話はあってないような・・・
豪華な衣装と華やかな踊りを楽しむ
ということでしょうか

「三番叟」の中では「操り三番叟」が心に残ります
箱から出てきた三番叟が躍動的に踊り出したか思うと
途中で糸が絡まってしまい
糸の撚れによりくるくる回りだし
加速がついて
遂には糸が切れ倒れてしまう
悲しく見つめる人形

先月の朝日新聞「日曜に想う」
編集委員の大野博人さんが「嘆くことさえ操られる人形たち」

題して書かれていた
リでのテレビ番組のことである
最初、人形(マリオネット)は軽快な曲に乗って踊っていた
そのうち曲想がゆっくりと悲しげに変わっていくと
うなだれへたり込んでいった
・・・
彼は何を悲しんでいるのだろう?
やがて人形は
自分の体につながっている何本もの糸を見つめだした
自分は操られ踊らされている
それを知ってさめざめと泣き始める
思い通りにならないわが身への深い絶望のしぐさ
しかし
その切なさに共感した瞬間に気づかされる
その嘆きも身振りも人形遣いに操られた結果にすぎない
人形に心があるとしても
糸につながり操られている
自分を振り返らずにはいられなかった
自分の心の動きはどこまでがほんとうに自分から出たもので
どこからがなにかに操られた結果なのだろう
そして
操るのはだれ?


このたびの踊りとは関係ないのですが
大野さんの「日曜を想う」を紹介したかったのです
操るのはだれでしょう


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