『地にありて静かに』 
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観劇記 あまご 
2019年10月26日 
 
劇団文化座 後援154
作:アン・チスレット 翻訳:余佐原豊司 演出:鵜山仁
会場:両国シアターχ


あらすじは 劇団のチラシから
第一次大戦末期(1917初秋〜18年初夏)の
カナダ・オンタリオ州キッチナー市郊外のアーミッシュの集落。
若き主人公ヨック・ボーマンは
信仰に自信が持てないと洗礼を回避し
周囲を悩ましている。
集落の閉鎖的な暮らしにも反発
家族・友人の諌めを振り切り
折から舞い込んだ徴兵令に応じて村を出てゆく。
しかし
そこで彼が見たものは
戦場での不条理な人殺しだった……


これだけでは分かり難いですね
チラシにもあったように
この世界の片隅で
絶対平和を念じ
文明や徴兵を拒否し
自然農法で生きている
カナダに移住したアーミッシュの住む村の物語です
アーミッシュとは1670年よりオランダ・スイス・ドイツなどから
アメリカやカナダに移住したキリスト教の再洗礼派に属するグループ
彼らは大人になってから
自分の意志で洗礼をうけます
当時のカトリック教会からは「異端」とみなされ
拷問・迫害・弾圧を受けたそうです
アーミッシュは教会という建物を持たず
礼拝は持ち回りで各家庭の納屋や半地下で行われるそうです
アーミッシュの身だしなみは
女性はアクセサリーを一切付けず
スカートの丈は長く
キャップを付けています
男性は帽子をかぶりネクタイはせず
成人になるとあごひげを延ばします
農業には機械を使いません


アーミッシュの人たち

こんな人たちもいたのかと
驚きました
舞台は第二次世界大戦の頃だったと思います
カナダでも多くの若者が戦争に駆り出されて行きます
隣の村の男は
息子を徴兵にとられ
息子は戦争で片足を無くし戻ってきます
労働力が不足していることを嘆きます
「いつでも手伝うよ」と言うのですが
戦争に青年たちを出さないアーミュシュを罵ります

あらすじにもあるように
若き主人公ヨックは恋人ケイトと別れを告げ戦場に行きます
戦場で見たものは
彼は一人のドイツ兵を殺してしまいます
後悔に悩ませられるヨック
父が正しかったと
泣きながら叫びます

この芝居はいわゆる
良心的兵役拒否ではなく
村人の総意として宗派の誓として戦争を拒否しているのです
いわば
日本国憲法を守るかどうか
個人があって集団の意志を形作る
そのようなことではないかと思いました
個人と集団の意志は必ずしも一致はしません
しかし
バラバラでは非力です
個人と集団を結びつけるものがあれば力となり
個人を守ることができます
生命や自然を守る
こうした理念が
宗教であったり憲法であったりするのかと・・・
思いました
この芝居
固そうな芝居と思われるかもしませんが
祖母(佐々木愛)父(米山実)と息子ヨック(斉藤直樹)の家族
隣人の父(津田二郎)母(姫地実加)と長女ケイト(深沢樹)達一家
息子と娘が恋をして
家族同士が助け合う
とても暖かい芝居でした

佐々木愛さんをはじめベテランの安部さん米山さん
爽やかな恋人を演じた深沢樹さん
ベテランと若き役者がぶつかりあって
見事なアンサンブルでした
終演後
四人で愛さんにご挨拶しました
配役
佐々木愛  阿部勉 津田二朗  斉藤直樹 早苗翔太郎 大鳥鈴乃
青木和宣  米山実 姫地実加  桑原泰 市川千紘  深沢樹
水原葵  皆川和彦 藤原章寛  中田千尋 若林築未  岩崎正芳
佐久間彩  砂川直哉 仁平天峰

 

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