『終夜』 Nattvarden
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観劇記 あまご 
2019年10月27日 
 風姿花伝 
作:ラーシュ.ノレーン 
翻訳:岩切正一郎 ヘレンハルメ美穂
演出:上村聡史
出演
岡本健一・・・ヨン
栗田桃子・・・シャーロット
斉藤直樹・・・アラン
那須佐代子・・・モニカ
風姿花伝プロデュースVol.6



今日は『終夜』の楽日
風姿花伝での観劇は昨年の『女中達』に続いて3作目です
初回は『終夜』と同じラーシュ.ノレーン作による
『ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる』
結構辛い芝居でした
家族が久々に劇場で待合せ
観劇後
家に集まり何気なく始まった芝居の感想が
積年の想いに火を付け
朝まで激しく語り合います
家族が久々に見た芝居は
ユージン・オニールの『夜への長い旅路』でした。

『終夜』も同じように母の葬式のあと
久々に兄弟夫婦が集まり
お互いの夫婦の間に炎が燃え上がります

ラーシュ.ノレーンの作品は
夫婦・親子の葛藤を掘り下げ
人間の内面を深く掘り下げることで
高度の福祉国家における
中産階級の家庭崩壊を描く作品が多いそうです
欧州連合(EU)では
中核的な中流階級が全世帯の23~40%を占め
トップはデンマーク(全世帯の40%)
2位はスウェーデン(39%)
高福祉国家であるにも拘わらず
アルコールや麻薬の依存も高いそうです
この芝居もそうでしたが
『バージニアウルフなんて怖くない』も
大学の教授一家
バーボンをあおりながら朝まで論争が続きます
人間の持つ悩みは果てしなく続くのでしょうか
わが家も時折論争しますが
お酒に酔いしれ
疲れて寝てしまいます
比べて
欧米の人たちはタフだと思います
ラーシュ.ノレーンは90年代から
スウェーデン社会が抱える病に注目し
アルコール・麻薬・ホームレス・売春・身体障碍者・精神障害者
犯罪者達に眼差しを向けた作品を作り上げていたそうです



あらすじはチラシから
霧が包む夜
母の火葬を終え帰宅した
精神科医(岡本健一)の男と
その妻(栗田桃子)。
帰宅とともに前妻との娘からの電話が鳴り響く……
まともに取り合おうとしない男。それを責める妻。
そこへ、男の弟(斉藤直樹)と
その妻(那須佐代子)が訪れる。
同じ家に泊まることになった、不仲の兄弟。
家族の確執、喪失した青春、性的倒錯。
時間はジャズの調べと共に過ぎて行く。
終夜、母の遺灰が見つめるなかで、男女四人が迎える朝は––––


すざまじいバトルでした
シャーロット(桃子さん)が
壁にペンキで書き殴り
最後は義母の骨壺を投げつけるシーンには
びっくりしました
凄い迫力です

秘密を抱えたモニカ(那須さん)のどんでん返しと言うか
最後の幸せそうな含み笑いは
印象的でした
ヨン(岡本健一)アラン(斉藤直樹)
二人の女性に対してはちょっと無様ですが
男はそんなものかな~と
自分を慰めています

3時間40分の壮絶な舞台
あっと言う間に終わってしまいました
途中休憩2回
ロビーではワインもありましたが
私もまたお酒を飲みながらこの芝居見たら
観客としてではなく5人目の登場人物として
参加したくなったかもしれません

芝居を観終えたあと
連れの二人と別れて郡山に
東北一人旅
新幹線の中で
バトルを思い出していました
 

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