『拝啓、衆議院議長様 観劇記』 
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観劇記 あまご 
2020年9月10日 
 
神戸演劇鑑賞会9月例会(神戸文化ホール中)
Pカンパニー第31回公演
シリーズ罪と罰CASE6
作:古川健
演出:小笠原響
出演
弁護士 太田憲明
妻 太田楓
先輩弁護士 遠山勇一
検察官 大石明
被告 松田尊
父 松田尊治
母 松田亜希恵
精神科医 藤田ミサ
被害者遺族 伊勢浩二
被告の元同僚 千葉由紀子
生き延びた被害者 間宮康太
八柳豪(俳優座)
須藤紗耶
内田龍磨
渡辺穣(円)
荻野貴継(フリー)
宮川知久
林佳代子(昴)
木村万理
本田次布
木村愛子
吉岡健司



芝居を観る前の
私のHPの掲示板に
こう書きました
2016年夏、神奈川県で起きた
「相模原障害者殺傷事件」をモチーフとした物語で
死刑廃止論者として苦悩しながらも被告と裁判に立ち向かい
事件の本質に迫るため奔走する太田弁護士の姿を描いた芝居です


芝居を観終わって感じたことは
人と人とのつながりでした
被告の松田尊は「私には沢山の賛同者がいる」と言います
しかし
太田弁護士は松田に
SNSを通じた賛同者は仲間ではない
君は一人ボッチだった・・・と語ります

巣ごもり生活が始まってからツイッターをよく見るようになりました
乱暴な意見が多いように思います
匿名ですから無責任になるのでしょうか
今は見ないようにしています

人と人とのつながりとは
最近
私自身もよく思うことがあります
つながっているようでも心はつながっていない関係
長年のご無沙汰から
断ち切れた糸がぶら下がっているような関係もあります
人間の関係とは何だろう?

この芝居に登場する人たち
全員ではありませんが
心のつながりをとても大切にしています
障害のある亡き娘とのふれあいをとても大切にしていた本田さん
娘は心のつながった命ある可愛い子供なのだと・・・
街を歩いていると本田さんのような親子をよく見ます
とても幸せそうに感じます
本田さんの話を聞いていると
太田弁護士が松田を許せないと揺れた気持ちもよく理解できます
しかし
私の心の中にも松田が潜んでいるかもしれないと
思いつつも
障害者施設で寄り添うように働いている
元同僚の千葉紀子さんの言葉に
太田弁護士は
再び弁護士としての使命を捉えなおします
千葉さんに見守れながら
懸命の意思表示する間宮康太さん
息子犯した罪に戸惑う両親たちの息子を想う気持ち
太田弁護士を支える妻と先輩弁護士
それぞれの登場人物たちの
心をつなぐ見事なアンサンブルでした
これまで主に歴史を扱った古川作品とは一味違った
今を生きる人々の葛藤を描いた見事な作品です
ふと
三好十郎が脳裏を過りました
そして
古川健さんの笑顔が浮かびました
世知辛い今の世の中にあって
芝居はいいな〜と
なんども思いながら劇場をあとにしました
次回の古川作品も期待しています

これまで観たた古川作品
『旗を高く掲げよ」
『Singa Song』
『かのような私』
『芸人と兵隊』
『治天ノ君』
『あの記憶の記録』
『愛する母、マリの肖像』
『追憶のアリラン』
2017.8.6 青年座
2018.3.20
2018.9.18 文学座
2019.3.5
2019.10.3
2019.11.18
2020.3.29
2020..4(配信)


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