『イブの総て』 National Theatre Live
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観劇記 あまご 
2019年12月21日 
KVC 
作 :ジョセフ・L・マンキウィッツ
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
シアター:ノエル・カワード劇場(ロンドン)



今年最後のNTLは ALL ABOUT EVE(イブの総て)
1950年に公開された同名映画を舞台化したものだそうです
ブロードウエイで成功するためには
すさまじい競争があると聞いてはいましたが
演劇界の裏側は大変な世界なんですね
ヨーロッパで役者になるためには
国立の大学でしっかり学び
訓練しなければならないそうですが
それでも役者になれるのは極わずか
何のために国立の演劇大学があるのかといえば
いい役者を育てると同時に
いい観客を育てるためだと

観客あっての芝居ですね
大切なのは文化
心のゆとりです
日本はどうかな?


   バーディ              マーゴ     カレン

さて物語は
人気劇作家ロイドの妻カレンは
劇場の楽屋口で毎日
大女優マーゴに憧れ佇んでいたイブに気づき
イブの不幸せな身の上話に打たれ
マーゴの付き人として紹介します
イブはてきぱきと仕事をこなし
マーゴのお気に入りとなります
しかし
イブは野望を抱いていたのでした
ある夜
泥酔してリハーサルに遅れてしまったマーゴの代役を
見事に演じ切り
劇評家のアデソンに取り入り
この役は若い女優でなければならないと
そんな記事が発表されます
マーゴは激怒し周囲に当たり散らします
カレンはマーゴを諫め懲らしめるために
わざとドライブ中の車のガソリンを抜いて
舞台に間に合わないように仕向けます
代役として舞台に立ったイブの演技に批評家たちは絶賛!

野望の着火
機に乗じて
イブはマーゴの恋人演出家のビルに言い寄ります
しかし
ビルは動じません
逆に
落ち込んでしまったマーゴを支え
二人の愛はより確かなものとなるのでした


ビル           マーゴ

それではと
劇作家ロイドを夜中に呼び出し
色仕掛けで
マーゴが演じる新作の主役を奪おうとするのです
ロイドの妻カレンはイブの企みに気づき責めますが
ガソリン事件をネタに
口をふさがれます
この後は不思議な展開
危機が転じて
ビルと恋人関係から夫婦への契りを結んだマーゴ
長年の想いが吹っ切れて
幸せそうです
・・・
もう自分は若くないと
イブに新作の主役を譲ると言います
この一言に
イブに脅かされていたカレンは一安心
すべては丸く収まるのです
終幕は
ニューヨーク演劇界で最高の栄誉とされる
サラ・シドンズ賞がイブに与えられ
怪しげな劇評家アディソンに付き添われて
イブが満場の喝さいを受けて登場します
したたかな二人です

最後に
争った二人ですが
どちらも魅力的ですね

 
マーゴ:ジリアン・アンダーソン        イヴ:リリー・ジェームズ 

感想です
マーゴを演じたジリアン・アンダーソンは
一昨年のNTL『ガラスの動物園』でブランチ役でした
今回はちょっと高慢ちきな大女優役
上手いなあ〜と思いました
イブ役のリリーも魅力的は女優さん
前半は恥ずかしさを含みながらの従順な役
こんな展開になるとは思いませんでした
ストーリーとしては
彼女の野望を一気にさらけ出すのではなく
ちょっと含みを持たせた
じわっとした展開の方が
わたし好みと言えます

2020年のNTLも楽しみです



 

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