『リチャード2世』 NTL
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観劇記 あまご 
2019年10月24日 
KAVC 
作:シエークスピア
演出:ジョー・ヒルーギビンズ



リチャード2世は日本ではなかなか上演されない作品ですが
2014年シェイクスピア生誕450年を記念しての
文学座シェイクスピア祭で連続リーディング公演があり
リチャード2世を見ました
王座を奪還するリチャード3世と違って
王座を奪われるリチャード2世
とても駄目な王様ですが魅力的でした
さて今度は本場イギリスでのナショナルシアターライブ
舞台はロンドンのアルメイダ劇場
コンクリートの壁に囲まれたような出口なしの空間
幽閉されたロンドン塔なのか・・・
舞台はピーターブルグ風に言えばなにもない空間
舞台の上手の壁際にWATERとかSOILとか書かれたバケツ(桶)がたくさん



血の入ったバケツ(桶)もありました
ボリングブルグはリチャード2世を慕うヨーク公の息子オーマール公に
ぶっかけます



バケツ(桶)はリチャード2世の王冠奪取のやり取りに出てきます
王冠をよこせ。では、従弟、王冠を手にするがいい。
   こちら側には私の手、そちら側にはあんたの手がある
   この黄金の王冠もいまや深い井戸のようなものだ
   そこにかかつてかわるがわる水を汲みあげる二つの桶は
   一方はからになってつねに空中に高く躍っておるが
   他方は底に沈んで人目にふれず、水がいっぱいになっておる
   底に沈んで哀しみを飲み、涙でいっぱいの桶が、私だ
   そしてもちろん、高く舞い上がっているのがあんただ

小田島雄志=訳



リチャード2世はボリングブルグ(後のヘンリー4世)に
WATERとSOILをぶっかけられ
王冠を奪取されます

この男をロンドン塔へお連れしろ

場面は少し戻りますが


キャストは8人だけ
普段着の軽装で何故か
リチャード2世以外は手袋をはめています
服装の変わらない8人が何役もやるので分かり難いのですが
敵と味方は壁に沿ってかたまります
大まかな筋が理解出来れば
字幕と
あとは想像力で補う
緊張感溢れる芝居です

シエイクスピアの芝居は
歴史の順ではリチャード2世から始まり
ヘンリー4世
ヘンリー5世
ヘンリー6世
リチャード3世
ヘンリー8世

続きます



系譜は
シェイクスピアの歴史劇を見る場合には参考になるかもしれません

あらすじ
リチャード2世は従兄であるボリングブルックとモーブレーから
仲裁を頼まれます
ボリングブルックによると
軍資金を横領しグロスター公の死に関わっているという
モーブレーは事実無根であるといい
名誉を傷つけらたという
リチャードは和解するように説得するが
互いに手袋を投げ合って決闘することになった
一旦は決闘を認めたリチャードだが
二人にイングランドからの追放を命じる
ボリングブルグは10年改め6年
モーブレーは永久追放
モーブレーはリチャードの退位を予言する
追放したボリングベルグの父ゴーントが亡くなると
遺産を取り上げアイルランド遠征の資金とする
ボリングブルグが遺産の返還を求めて
帰国したことを知った貴族たちは
密かにリチャード打倒の準備をし始める

リチャードがアイルランド遠征から戻った時には
イングランドはボリンブルグ達の手に落ちていた
ウエストミンスター寺院で戴冠式が行われる
リチャードはポンフレット城に幽閉される

ヘンリー4世となったボリングブルグが
リチャードのことを「生きている恐怖」と語り
騎士エクストンは暗殺の指示と勘違いして
リチャードを暗殺する
ヘンリーはエクストンを処刑して
罪を清めるためにエレサレムの遠征を誓う
しかし
ヘンリー4世の苦悩は終わらない
争いは終わらない
ボリングベルグの味方であったノーサンバランド伯は
ヘンリ4世が即位すると
対立し反乱を起こす
14世紀は日本もイングランドも
戦国時代でした
戦争程愚かなものはないと思うけど
権力争いはいつまでも続いています
空しさ
リチャード2世に続く
シエイクスピアの史劇には
庶民やフォルスタッフのような騎士たちも登場します

みすぼらしい王冠
それを手にするために
権力争いは続いて行くのですが
観客である民は気づいているのです



 
リチャード2世
ボリングブルック
オーマール公
カイラールの司教
ヨーク公
ゴーント
モーブレー
ノーサンバランド伯
サイモン・ラッセル・ビール
レオ・ビル
マーテインズ・イムハンベ
ナタリーン・クラマー
ジョン・マッケイ
ジョゼフ・マイデル
サスキア・リーヴス
ロビン・ヴィーヴァー

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