『気骨の判決』

観劇記 あまご 

          作   : 竹内一郎  
          演出 : 川口啓史
                                
         
 俳優座 紀伊国屋ホール
 2013年11月20日
2013年
九条改定の動きが国民の声によりやや弱まってきたかな?
と思ったのもつかの間
今月26日には特定秘密保護法案が
4党合意により上程されようとしています。
法は誰のためにあるのかもう一度考え直してみる、
そんなタイミングに上演された劇団俳優座による『気骨の判決』でした。



舞台は
本土決戦が叫ばれる敗戦間近の昭和20年3月1日
特高の監視や配給米の停止など
近隣から非国民扱いの嫌がらせを受けながらも
司法の独立を唱えながら
自らの信念を貫き通し
3年前の翼賛選挙に無効の判決を下した判事と家族の物語です。
 主人吉田久(加藤佳男)は
「正義とは何か」と給仕をしながら法を学ぶ青年に問われ答えます。
「正義とは
倒れているおばあさんがいれば
背負って病院に連れていってあげるようなものだ」と・・・
法とは本来このようなものだと言いたかったのかもしれません。
憲法は他の「法律」と違い
権力者を制限・縛りをする規範と言われています。
新たな「法律」制定や、行政の行う行為がはたして
憲法に照らしてどうなのか
これを判断する基準は?
優しさや真心にあると
この芝居は訴えかけてたように思いました。
観客の1/3近くは若者たち
法科の学生さん達でしょうか。
彼らや彼女たちがやがて
人間との関係で法律や縛りと向かい合った時
きっとこの芝居は精神的なよりどころになるだろうと強く思いました。

注)翼賛会の推薦を受けなかつた
別に過激思想の持ち主でもない
時局に非協力的だとされた政治家は
鳩山一郎
尾崎行世
三木武雄
斉藤髟v
大野伴睦
片山哲
二階堂進
等その後の所属政党も幅広い
日本の戦後の政治を担った人達である。



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