『満天の桜』

観劇記 あまご 

          作 :畑澤聖悟  
           演出:丹野郁弓 
                          2012年12月15日 劇団民藝 日本橋三越劇場
         


 劇団民芸にというより
奈良岡さんのために畑澤聖悟が書き下ろした新作「満天の桜」
昨年の「カミサマの恋」に続いてのコンビネーションです。
畑澤聖悟作品との出会いは
「カミサマの恋」「飛べ原子力ロボむつ」に続いて3作目
「満天の桜」は時代劇
とても同じ作家とは思えないような作品群です。
代表作「親の顔が見たい」は台本を読んだだけですが
いじめをテーマにしたシリアスな現代劇
畑澤聖悟
過去から現代
そして未来に
津軽からアメリカまで
時空を駆け巡る旬な劇作家
来月は原子爆弾の製造とアメリカの侵略戦後史をテーマにした
「イノセントピープル」が劇団昴により再演されます。
2013/01/31(木) 〜 2013/02/03(日)
あうるすぽっと

ところで

 「満天の桜」
あらすじはパンフレットから





関ヶ原の合戦を制し
群雄割拠の戦国時代にようやく終止符をうった徳川家康。
家康は政略結婚を巧みに使い
地方大名を統治していきます。
北にシンパを求めた家康は
津軽藩二代目藩主
津軽信枚に養女・満天姫を嫁がせます。
一度は芸州
福島正則の養嗣子正之に嫁ぎ
一子直秀をもうけた満天姫ですが
正之は幽閉され獄死し
満天姫は幼い頃から付き従っていた侍女頭・松島を伴い津軽に再嫁したのでした。
満天姫は実子である直秀を津軽藩家老・大道寺隼人の養子とし
信枚が石田三成の娘との間にもうけた信義を津軽藩嫡男として育てます。
信枚亡き後
葉縦院と名乗る満天姫をある日
家康のブレーンでもあった南光坊天海が訪ねてきます。
それは満天姫に生涯を捧げ尽くした松島にとっても大事件の始まりでした……
泰平の世を守るため
満天姫と松島は残酷な決断を迫られることになるのです。





 満天姫(まてひめ)は中地美佐子
侍女頭松島は奈良岡朋子
南光坊天海に伊藤孝雄

満天姫の実の息子でありながら
津軽家の家老の養子大道寺直秀(斉藤尊史)は
満天姫を母と呼べない悔しさ・・・
悲しい終幕となりましたが
簡素な舞台に舞落ちる桜の花びらは美しく
哀れでもあり
涙が止みません。
 舞台は実にシンプルです
桜の花も咲いていなければ
桜の木すらありません。
なにも無い寒々とした舞台で
松島が桜の苗木を植えるシーンで始まり
桜の苗木を植えるシーンで終わります。
僅か
終幕に舞落ちる数枚の桜の花びらだけが満天の桜を想像させるのです。
 もう4〜5年前になるかもしれませんが
弘前城の桜を見たことがあります。
鮮やかで綺麗でした。
直秀は紅い桜といっていましたが
どうだったか
いつかもう一度津軽に
そんな気持になりました。



 


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