『南部高速道路』

観劇記 あまご 

          構成・演出:長塚圭史 
          原作:フリオ・コルタサル
          会場:シアタートラム(三軒茶屋)
三軒茶屋のシアタートラム(小劇場)は
客席200ほどの理想的な空間劇場です。
劇場に入ると

4面に東西南北の看板が立っていて
中央の床を見下ろし囲むように
4面の観客席が用意されていました。
正面奥は本来舞台なんでしょうけどそこは北5段の観客席
左は3段の西観客席
右も東観客席です。

まるで古代ギリシャの劇場のようです。
私は南A2席ですから
手前最前列左から2番目のラッキー席です。
芝居が始まる前からワクワクします。




パンプレット開くと
なんと袋とじ?
傍の劇場のおねーさんに尋ねると
芝居を観終わってから読んでくださいとのこと・・・・
ますますワクワクします。
そんな訳で芝居のストーリーは書けませんけど
チラシにはチラリとこう書かれていました。


日曜日の昼下がり
都心に戻る高速道路は
郊外で週末を過ごした人々の車であふれている。
明日からは
いつもの日常に戻る・・・はずだった。
ところが
高速道路は
原因不明の渋滞に巻き込まれてしまう。
この渋滞
いつまで続くのか。
それぞれの日常から切り離された人々は・・・




これだけではさっぱり判りませんね。
舞台は何もない黒い床面の空間だけ(ここにも仕掛けがありましたけど)。
本当になんにもないのかな〜と見渡すと
左右の壁面上方に4本の高速道路の照明柱
これだけです。
やがて
ワイワイガヤガヤ・・・
手荷物と傘を持った人たちが現れて・・・
狭い空間を行ったり来たり・・・
なにが起きているのかさっぱり分かりません。

目の前を素敵な女優さんや
かっこいい役者さん達が通り過ぎて行きます。
十三人の旬な役者と演出家による芝居の始まりでした。

これはネタバレになるかもしれませんが
高速道路という人々の繋がりのない空間
通過するだけの便宜的な空間
ありふれた日常的空間における
渋滞という日常的なトラブルを発端に
夏から秋、冬、そして春・・・渋滞による路上生活
在りえない状況設定の中で
在りえるかもしれない
仄々とした人と人との繋がりが
自然に生まれてくる。

・・理解出来そう?出来ない?・・・

不思議な気持で芝居を観ていました。
ラスト
渋滞は解除され
何もなかったかのように
舞台の役者さん達は動き始めます。
解放感と同時に渋滞の中で生まれた共同体が
一気に崩れてゆく不思議な喧騒・・・
流れの中で見失ったグロリア(江口のり子)を探す
バス(赤堀雅秋)の姿が印象的でした。




稽古場の風景 パンプレットより


           出演者:  デリカ   (安藤聖、ぺ・ジョンミン)
                  マーチ  (小林勝也)
                  ミニ     (真木よう子)
                  ミニカ    (梅沢昌代)
                  ルノー   (梶原善)
                  レガシィ  (黒沢あすか、横田栄司)
                  ワーゲン (植野葉子、加藤啓)



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