『温室』 

観劇記 あまご
 
2012.07.01 
          作:ハロルド・ピンター
          訳:喜志哲雄
          演出:深津篤史
          新国立劇場 小劇場  

新国立劇場
四月からは始まった「海外戯曲 春から夏へ」3部作
「負傷者16人」「サロメ」に続く最後の作品です。
「負傷者16人」は西宮芸術文化センター
「サロメ」新国立中劇場
今回の舞台は新国立小劇場で観ました。
このところ
劇場に入った瞬間に驚かされっぱなしです。
『南部高速道路』 もそうでしたが・・・





ステージは中央
四方位の観客席です。
左右の壁はガラス張り
舞台の置かれた調度品や机・椅子はすべて赤





天井には真っ赤なラウンドスピーカーがぶら下がっています。
スケッチしていると
舞台が暗転
芝居が始まりました。
回り舞台です。
絶えず回転しています
ゆっくりと
時には速く・・・・
四方の観客席から
舞台で起きる出来事がすべてわかるようになっているのです。





ですけど
芝居の流れについて行くのが精いっぱい。
ここは収容所?病院?
登場人物たちの関係やなにが起きているのか
ぼんやりとしか解りません。
とにかく見続けて行くしかないようです。
そのうちに少しずつ解ってきます。
でもまた
不意な出来事や会話も加わって・・・
なんども混迷・・・・





休憩なし2時間の芝居があっという間に終わってしまいました。
終わってみれば
不条理劇でもなく
そんな難しい内容でもなく
現実にあり得るかもしれない日常性と
日常的には在りえないだろう残虐性。
観客の芝居への感情移入を絶えず拒否することで
冷静に観て欲しい・・・

いうことなのでしょうか。
・・・・
俗物達の犠牲になったラム
最後まで解放されませんでしたね。
生きているのか
ラムの時は止まったままなのか
最後まで
椅子に座ったまま
動かないラム




ものがたり チラシから

病院と想われる国営収容施設。
クリスマス。
患者6457号が死に6459号が出産したという
部下ギブスからの報告に
驚き怒る施設の最高責任者のルートは
秩序がなによりも重要だと主張し
妊娠させた犯人を探し出せと命令する。
そして
ギブスは犯人が見つかったと報告するが
事態は奇妙な方向へと動き出してゆく・・・・・


                   
配 役 
ルート
ギブス
カッツ嬢
ラッシュ
ラム
タブ
ロブ

  
段野 安則
高橋 一生
小島 聖
山中 崇
橋本 順
原 金太郎
半海 一晃

ハロルド・ピンターは2005年にノーベル文学賞を受賞した
20世紀を代表するイギリスの劇作家だそうです。
初めて知りました。
日本で上演されるのは初めてかもしれません。
ピンター(1930〜2008)と同世代には
同じイギリスのアーノルド・ウエスカー(1932〜)や
ジョン・オズボーン(1928〜1994)
ちょっと先輩に
アイルランド生まれのベケット(1906〜1989)
そしてサルトル(仏1905〜1980)や
ユージン・オニール(米1988〜1953)達
この時代は個性的な劇作家達が活躍していました。
彼らの作品数が少ないこともありますが
日本での上演は本当に少ないですね。

どこかに空しさを感じる今の世
怒れる世代が予見したものは・・・・

それにしても
日本はどこに向かっているのでしょうね〜
ヨーロッパも・・・・世界も・・・・私も・・・・
動けないラム
写真はパンフレットより


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