『サロメ』

観劇記 あまご 

          作:オスカー・ワイルド
          訳・平野啓一郎
          演出:宮本亜門
          会場: 新国立劇場 中劇場


 中劇場は昨年「雨」以来1年ぶりです。
席は14列24番?
でもなぜか前から5番目
調べて見たら
下図のようにプロセニアム形式とオープン形式に
前舞台を自由に変更出来るようです。
今回のサロメの舞台はオープン形式で
9列までは前舞台となっていたのです。
さらに
なんと前舞台の床がむき出しになっていて
奈落の底が覗き込めます。
奈落の深さは15.7mもあるそうですから驚きです。
暗くて深い奈落の底の水窟に蠢いているのはヨカナーン・・・
前舞台と観客席の間には
裸の牢番が・・・
芝居は始まっているのです。
主舞台の天井にはでっかい鏡があり
主舞台の動きがすべて真上から見下ろすように映し出されます。
舞台版3D?より立体的にという事なんでしょうか。
新国立劇場ならではの大掛かりな仕掛けです。 



   
   
 サロメの上演は、
多分オペラでは上演されたかもしれませんが
本当に久々だそうです。
日本でサロメを初めて演じたのは松井須磨子
7年間で127回
川上貞奴や天勝なども演じたそうですから
大正時代は超人気芝居
ビアズレーの挿絵(岩波文庫のサロメ)のような
肉感的エロスの世界が当時の大衆を魅惑したのかもしれません。
多部未華子のサロメは
まさに「純粋無垢なサロメがいざなう狂気の世界」。
新訳された平野啓一郎は
福田恒存の「サロメ」は官能的な大人の女として描かれている

パンプレットに書かれていたので
福田恒存の「サロメ」を読んでみたのですが
やはりサロメは少女として描かれているように思えるのですが・・・
多部未華子=サロメの印象が強すぎて
読み切れないのかもしれません。
預言者ヨカンーン(成河(ソンハ))は女を拒絶する聖職者なのか
それともまだ恋を知らない美しい少年なのか
微妙です。

福田恒存訳

あゝ!
あたしはたうとうおまえの口に口づけしたよ
ヨカナーン
お前の口に口づけしたよ。
お前の脣はにがい味がする。血の味なのかい
これは?・・・・・
いゝえ
そうではなうて
たぶんそれは恋の味なのだよ。
恋はにがい味がするとか・・・・・




「最高潮」ビアズレー


平野啓一郎訳

お前の口唇にキスした。
苦い味ね、お前の口唇。
血の味なの?
・・・・ううん、ひょっとすると
恋の味なのかも。
恋って
苦い味がするって
よく言うから。


どうですか・・二人の訳の違い・・・・

ユダヤ王ヘロデは奥田瑛二
王妃ヘロディアが麻美レイと個性的な俳優さん
三人姉妹でアンドレ―を演じた櫻井章喜がカッパドキア人の役など
結構渋い俳優さんが脇を固めていました。




それにしても
ラストは
驚きました!



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