宇宙みそ汁

観劇記 あまご 
8月7日  
          作: 清中愛子
          構成・演出:坂手洋二
           大阪ウイングフィールド 

地球に向かってただ一人
パラシュートで降り立って行く
エプロン巻きつけ私が降り立ったのは
  青い地球の大気圏の中ではなく
誰もいない砂漠でもなく
・・・・
  味噌と豆腐とネギとわかめの中


2011年彗星のごとく現れた若き詩人清中愛子さん
「鶴見の京浜工業地帯をママチャリで必死に走る茶髪のギャルがいたとしたら私です。
横浜のうらぶれたアパートの狭い部屋で六年の月日を過ごし
なぜか主婦となった私自身にいつもどこか自己疎外を抱きながら
台所のアトリエで処女詩集『宮の前キャンプからの報告を』作り上げました。」
公演パンフより (未確認地帯のエプロン族 清中愛子)


 超ファンタジックで超現実的な作品 『宇宙みそ汁』
芝居の展開になかなかついて行けません。
エプロン姿の魅力的な愛子さん(円城寺あや)に
分身である
東の愛子(松岡洋子)  
西の愛子(桶尾麻衣子)が
加わっての朗読劇?



さらに南の愛子(田中結佳)
北の愛子(中山マリ)
可愛い息子(宗像祥子)が加わって
舞台はどんどん進行して行きます。
六脚の椅子の組み合わせの他には何もない空間。
アパートに住む様々な人達との出会い
造船所の深い船底で油まみれに成りながら働く愛子さん
ニッカボッカのカッコいい労働者達との触れ合い。
あ〜そうなんだ。
味噌と豆腐とわかめの混沌状態から
上澄空間に抜け出るように
芝居の展開が少しずつ鮮明になって行きます。

「レジ袋広げて風捕まえて空高く舞い上がれるなら」

 現代詩と芝居空間の中で広げられてゆく不思議な孤独と連帯。
子育ての野戦空間=台所と
過酷な労働空間=船底に
舞い降りた愛子さんのファンタジックな奮戦記でした。

 劇場は長堀橋のビルの屋上のような50〜60人程度の小さな空間
膝を丸めてじっと芝居を観続けます。
役者さんの表情が、瞬きが、息遣いが伝わってきます。
中山マリさんの金魚のものまね
とても可愛かったですね。
いい芝居でした。


ページTOP

Masao'sホーム 観劇記