『ヤング・マルクス』 
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観劇記 あまご 
2019年2月03日 
 

作:リチャード・ビーン&クライブ・コールマン
    演出:ニコラス・ハイトナー
    上演劇場:ブリッジ・シアター(ロンドン)
KAVC


今年始めての芝居 映画?はNTLによる『ヤング・マルクス』
若き頃のマルクスはこんな人物だったのか
多少の誇張はあるでしょうけど
全ては事実に基づいていると
なにせ
マルクスを尾行した者による調書がネタだそうですから
なんでも焼いてしまう日本とは大違い
どんなものでも事実は貴重だと
感心しました

200年ほど前の1818年5月5日 
プロイセン王国・トリーアでマルクスは生まれました
(2年半後にはエンゲルスもプロイセンで生まれています)
1841年ベルリン大学で修士号を取得したマルクスは
イエーナ大学で哲学博士号を取得し
翌年
「ライン新聞」の編集長を務め
事務所に立ち寄ったエンゲルスと出会います
1843年
プロイセンの貴族の娘ジェニーと結婚し
パリに
エンゲルスと再会し
二人は生涯にわたる盟友となります
しかし
パリを追放されブリュッセルに亡命
1848年2月に「共産党宣言」が刊行されると
ベルギー政府により追放
再度パリ~ケルン~パリと点在し
1849年ロンドンに亡命
ソーホーに居を構え
妻(ジェニー)と二人の子供
そしてメイドのニムと暮すマルクスは
貧困のどん底でした
貧しさのあまり
妻の嫁入り道具である家宝のアーガイル(純銀の肉汁保温器)を
妻に黙って質に持ち込み
店主に盗品と疑われて警官に追われる場面から
舞台は始まります

カール・マルクス
32歳
大酒飲みで女好き
メイドのニムとも関係がありました
妻にばれないようにエンゲルスに押し付けるとは
ひどい男です
独りよがりで空気が読めないマルクス
マルクスの意外な側面に驚き
人間臭さというか
不思議な魅力を感じました
私も周りからよく「空気が読めない」と言われますが
それはそれとして幸せなことかもしれません
マルクスには敵もいますが
大勢の味方もいます
最大の味方は妻ジェニー
そして最大の理解者はエンゲルス
ニムも良き協力者です


ロリー・キニア(マルクス)  オリヴァ・クリス(エンゲル)
二人で歌う
♪マルクス&エンゲルス♪♪エンゲル&マルクス♪の歌
楽しかった



マルクスがアーガイルを盗んだ疑いで警官に追われている頃
家具は持ち去られ
ピアノも借金の形にとられますが
エンゲルスは新しいピアノや家具を届け
これからのマルクスの研究生活を支えるために
マンチェスターでの家業「エルメン&エンゲルス商会」に復帰します
最後の場面は
資本論の完成に向けて
マルクスの口述を書きとめるジェニーとニム
二人も魅力的な女優さんですね


ローラ・エルフィンストーン(ニム)   ナンシー・キニア(ジェニー)

作者の一人 リチャード・ビーンの芝居は2012年の「ハーベスト」以来です

芝居の冒頭で演出のニコラス・ハイトナーへのインタビューがありました
2017年10月に
ナショナル・シアターの元芸術監督ニコラス・ハイトナーと
元事務局長ニック・スターがロンドンに
新劇場「ブリッジ・シアター」をオープン。
その杮落しとして上演されたのが今回の
「ヤング・マルクス」
次作は「ジュリアス・シーザ」
これもまた楽しみです
イギリス演劇はここ10年で売り上げが25%も増加したそうで
これを受けて
始めての公的機関から助成を受けない商業劇場
「ブリッジ・シアター」

建設されたそうです
映像で見る限りでも素晴らしい劇場です
壊れそうな一つだけの神戸の劇場で見ている私たちには
羨ましい限りです
youtubeがありましたのでどうでしょう

https://youtu.be/MGoYWbE3Cms

写真はNTL

http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/ntlout25-young-marx



NTLファンのK君からの情報です
KAVC(神戸)上映


NTLive.jpの2019年のラインアップが発表されました。

http://spice.eplus.jp/articles/223568

     1.『マクベス』2019/2/15(金)~2/21(木)
     2.『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』2019/3/1(金)~3/7(木)
     3.『リア王』2019/4/19(金)~4/25(木)
     4.『英国万歳!』2019/5/31(金)~6/6(木)
     5.『アントニーとクレオパトラ』2019/6/21(金)~6/27(木)
     6.『アレルヤ!』2019/7/12(金)~7/18(木)
     7.『リチャード二世』2019/9/6(金)~9/12(木)
     8.『みんな我が子』2019/10/4(金)~10/10(木)
     9.『(作品タイトルは後日発表)』2019/11/8(金)~11/14(木)

     1,3,5,7はシェイクスピア(4本)、2,8はアメリカ現代演劇、4,6は英国現代演劇
     近くではJR大阪駅隣接の大阪ステーションシティシネマで観られます。(3,000円)
     このうちいくつかはKAVCでも観られるそうです
            今年も楽しみが増えました


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