『雪やこんこん』 −湯の花劇場物

観劇記 あまご 

          作・作:井上 ひさし 演出:鵜山 仁 
          こまつ座第96回公演 大阪 森ノ宮ピロテーホール
         




 3月17日は井上ひさし生誕77フェステバル2012の第2弾「雪やこんこん」です。女座長中村梅子に高畑淳子、宿屋の女将佐藤和子にキムラ緑子と二人の超個性的な女優の激突です。梅子一座の頭取は文学座の金内喜久夫、女形金吾に村田雄浩、二枚目秋月は今拓哉、娘役の三条ひろみに元グラビアアイドルの山田まりや、お囃子方の光夫君は青年座の宇宙君、片や、宿屋の番頭庫之助に新井康弘、女中お千代は文学座の素敵な若手女優高柳絢子さんと、超豪華な配役です。
 新劇のプロデュース公演というものには、どこかにちょっと抵抗があったのですが、これだけ芸達者で魅力的な役者さん達のアンサンブルを観せられると・・・・いい芝居にはいい役者、そしていい観客? なる程? と思いました。ただし、有名な若手俳優が出演する高価な芝居が時々関西にも来ますけど、芝居は庶民の娯楽ですから出来るだけ安くして欲しいですね。芝居は10〜20代の若い人たちに、ただでもいいから観て欲しいと思います。昔の新劇運動にはそうした理念がありましたね。
 さて、芝居の中味ですが、井上さんの芝居は沢山の仕掛けがあり、騙されるのが楽しみですから、ネタバレはなしとします。ただ、いつもは私たち観客があっと騙されるのですが、この芝居はそれだけでないのが特徴です。ですから、これだけ達者な役者さん達が必要なんでしょうね。
 
     雪はふるふる夜はふける
     温泉劇場の楽屋裏
     雪で足止め 旅劇団の
     女座長の大芝居

 こんなに、涙が出そうなぐらい感動的な芝居は久々です。いい芝居、いい役者、いい観客、幕間も拍手が鳴りやまりません。終幕は、それは、それは・・・・・ここでもどんでん返しか・・・・気持ち良く騙されて幸せです。緑子さんのあの声は、聞き覚えのある声、思い出せません・・・どこかでいつも聞いていたような・・・・不思議です。



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