『例外と原則』 
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観劇記 あまご 
2016年7月10日 
 
          作:B・ブレヒト 演出:合田幸平 劇団どろアトリエ 

                   


ブレヒトの芝居はほぼ見尽したかな
と思っていましたが
こんな芝居がありました。
さすが劇団どろです。

数年前までは
ブレヒトの芝居は今の時代に合わないのでは
と思っていましたが
ブレヒトが生きていた時代と
同じような雰囲気に
ここ数年似てきました。
格差どんどん広がり
後押ししているものの正体が
もう明確に見えてきているのに
世間はまどろみの世界です。

「例外と原則」
現代を問う明確な芝居でした

あらすじは
商人は道案内人とクーリ(苦力)を引き連れて
石油の発掘権を手に入れるためにウルガという町をめざし
めちゃくちゃな行程で旅をします。
他の商人たちを出しぬいて権利を独占するためです。
砂漠の中のテントでの野宿
あるとき
クーリと案内人が煙草を吸いながら話し込んでいるのを
商人は目撃します。
商人は二人が報復するかもしれないと邪推し
案内人を解雇します。
優しい案内人はクーリに水筒を渡し
商人に見つからないように
と言い残し去って行きます。
こうして
再び苦しい旅が続きます
案内人がいないから旅は迷い迷い水も底をつきます
クーリは水筒を商人に渡そうとしますが
商人は石を持って殴りかかってきたのだと勘違いし
クーリを撃ち殺します。

そして
クーリの妻の訴えにより裁判が開かれます。
案内人はクーリの弁護のため証言します。
もっていたのは石ではなく水筒であったと・・・
しかし
限界状態において弱いものは強いものに報復するという「原則」
限界状態において弱者が強者に施しをするという「例外」
原則はあり例外は認められないと
裁判長は商人の正当防衛による無罪を判決します。

弱者と強者
権力は誰のためにあるのか

とても明快な恐ろしく
未来を暗示するような芝居でした。

中野渡くんのクーリはよかったです。
いつも新鮮などろの芝居
ありがとう!
 

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