モスクワ芝居三昧の旅(W) 
      
第4報(5日目)観劇は『三人妹姉』
    
2017年06月01日     
山と橋を渡る  Masao's Photo Gallery


モスクワ芝居三昧の旅
5日目となりました
午前中は初めての自由行動
アルバート通りでお買い物です
そして
アルバート通りにあるシューキン演劇大学へ
夜はロシア最古のマールイ劇場で
チェーホフの『三人姉妹』です



ホテルで朝食
夕べはユーゴーザパドでの交流会
あまり食べれなかったので
朝食はしっかり食べます

赤い飲み物はコケモモのジュース
ロシアでは人気のある飲物だそうです
鮭やニシン?などがあって
ロシア料理、私は好みです



11:25 アルバート通り
左の水色の建物はプーシキンの家博物館
後ろの高い建物はスターリン様式の外務省
右手にはプーシキン夫妻の像があります



由緒あるロシアの貴族であったプーシキンは
幼いころから文学に親しみ
詩人として名声を得ていましたが
次第に政治色を帯びた詩作をするようになり
文学的急進派の代表者となってゆきます
妻ナタリーは密かに慕うものも多く絶世の美人
プーシキンの進歩的な思想が気に入らない宮廷貴族たちは
フランス人ダンテスをけしかけ
ナタリーに言い寄らせ
執拗なダンテスに怒り心頭
そして決闘
この時受けた傷がもとで二日後に息を引き取ったのでした
トレチャコフ美術館でみた
プーシキンの優しそうな顔が浮かびます

今夜の『三人姉妹』のなかでもプーシキンの叙事詩を
マーシャが歌います
「入り江のほとり、みどりなす樫の木ありて・・・・」



シューキン演劇大学
正式には
ロシア国立ワフタンゴフ劇場附属シューキン記念演劇大学
地図でみると
ボリス・シャスキンの演劇研究所と書かれています?

ワフタンゴフはスタニスラフスキーの弟子で
メイエルホリドとは異なり俳優の個性やアンサンブルを重視




ロシアのプロの俳優は演劇大学で4年間学びます
演劇大学への入学は難しく
10〜200倍
全生徒の半分は優秀生のお金を負担するために有償
入れ替わることもあるそうです
また
優秀生で入学しても成績に応じて落とされることもあり
芸術監督の望んだ最低限の結果に至れなかった場合は退学
行われる授業は
実技:演技演習、舞台動作、舞台発声、 
座学:演劇史、文学史、音楽史、映画史、
       美術史、哲学、心理学、、情報、英語etc
20人前後のクラスのメンバーと同じ内容を4年間一緒に学びます
こうした基礎的な訓練の上に
俳優業を学んでゆく役者達が支えているから
今のロシアの演劇があるのでしょう
有名?タレントを中心に据えた日本の芝居をときどき見ますが
みている方がしんどくなる時があります
どんなに脇がよくても
アンサンブルが崩れてしまってはどうしようもありません
基礎的な訓練は大切だと
あらためて思いました



ダンスの授業風景 13:30



先生の厳しい指導があり
観ている方も緊張します



ボリス・シャスキン演劇研究所
(シューキン演劇大学)



そして次の授業は



向かいにある建物も同じ演劇学校です



グーグルで位置を検索しました
アルバート通りから路地に入り
ノーヴィ・アルバート通り(Novyy Arbat,新しいアルバート)
の中間にありました



ミュージカル
「クレイジーフォーユー」
ロシアでのブロードウェイミュージカル
先生はアメリカ人です



一旦ホテルに戻り
二人は日本の古典的衣装に着替えました
ここは劇場広場のボリショイ劇場前です



劇場のシンボル4頭立ての馬車



拡大してみました



そしてマールイ劇場をバックに



創立は1756年
250年以上の歴史を持つ
ロシア・モスクワの最古の劇場
オペラやバレエのためのボリショイ (大) 劇場と対照して
マールイ (小) 劇場と呼ばれます
正式名称は「国立アカデミー・マールイ劇場」



アレクサンドロ・オストロフスキーの像

リアリズム演技を確立した名優シチェープキンが活躍したため
「シチェープキンの家」と呼ばれ
劇作家オストロフスキーにちなんで
「オストロフスキーの家」とも呼ばれるそうです



入ります



演目も毎日変わります
従って舞台装置を収める小屋が
とてつもなく大きいそうです



6/1は「Три сестры(三人姉妹)」



まるで宮殿のような劇場です
1200席



大きな舞台です
このセットがぐるりと廻り
スケールの大きなまわり舞台
(写真はいずれもマールイのHP)から



2幕の記念写真のあとのコマ廻しの場面です
(写真はマールイ劇場HPから)

  
オーリガ         マーシャ         イリーナ

イリーナがひとり残り
「モスクワヘ!モスクワへ!モスクワ!」
2幕の幕が降りて休憩



休憩の間に芸術監督のソローミンさんの部屋に
ソローミンさんはエリツイン時代の文化大臣で
堀江先生の友人
黒沢監督の「デルスウザーラ」の主演俳優でした
今日の芝居はソローミンさんの招待でした
壁にはエイリザベス女王が来られた時の写真もあり
見えますか
豪華な執務室です



この後
再び劇場に
三幕は舞台がぐるりと回ってオーリガとイリーナの部屋
火事騒ぎのあと絶望的な場面です
高慢なナターシャに
情けないアンドレー
ばーやとともに家を出て行くオーリガ

ナターシャは5年前にみた文学座の千田美智子さんや
3年前にみたシスカンパニーでは神野三鈴さんの方が好みです
あどけないナターシャが高慢に変身してゆくのがよかった
ロシア版は最初から恐そうでした・・・



軍医が落として壊れた母の形見の時計を持って
チェブトイキン(軍医)を責める
マーシャの夫クルイギン
なにもかもが壊れてゆくのです

そういえば
三人姉妹の母は初日に訪れた
ヴォデーヴィッチ修道院に埋葬されていると・・・


やがて楽隊は去って行き
残された三人姉妹



なんのために生きているのか
なんのために苦しんでいるのか
・・・・
それがわかったら、それがわかったら!

しばらくの静寂のあと
ブラボーコールが・・・
幕は静かに降りてゆきました



22:30 劇場広場
すっかりロシア演劇の奥の深さに酔いしれてしまいました



23:05 ホテルにて
今宵はホテルの部屋にて神戸組三人で乾杯

ワインにビールにウォッカ
アルバート通りで買ったウォトカグラス
マトリューシカ風に入れ子です

するとしばらくして
電話があって
堀江先生が登場
濃厚なロシア演劇の講座を聞きながら
ロシアの夜は更けて行きました

「三人姉妹」の動画です

https://youtu.be/ri2OauLKLSk

それではおやすみなさい
Спокойной ночи.
スパコーィナイ ノーチ

明日は
モスクワ芸術座・メイエルホリドの家博物館
チェーホフとスタニスラフスキーのお墓詣り

そして最後の舞台は
ユーゴザ―パド劇場の
『巨匠とマルガリータ』です

前日に戻る
モスクワ芝居三昧の旅V

明日は
モスクワ芝居三昧の旅D


ページ先頭に

Masao'sホーム 散歩路